法律学研究支援室

判例 H16.07.06 第三小法廷・判決 平成15(受)1153 相続権不存在確認請求事件(第58巻5号1319頁)

判示事項:
共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟

要旨:
共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。

参照・法条: 民訴法40条,民訴法134条,民法891条,民法898条

内容:
件名  相続権不存在確認請求事件 (最高裁判所 平成15(受)1153 第三小法廷・判決 棄却)
原審  H15.03.12 東京高等裁判所 (平成14(ネ)6121)

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理    由

 上告代理人福地絵子,同福地明人の上告受理申立て理由について

 1 記録によれば,本件の概要は,次のとおりである。

 (1) A(以下「A」という。)は,平成9年3月14日死亡した。その法定相続人は,妻であるB並びに子である上告人,被上告人,C及びDである。

(2) 上告人は,被上告人がAの遺言書を隠匿し,又は破棄したものであり,被上告人がした上記行為は民法891条5号所定の相続欠格事由に当たると主張し,被上告人のみを被告として,被上告人がAの遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める本件訴訟を提起した。

 2 被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は,遺産分割をすべき当事者の範囲,相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。そして,共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,当該他の共同相続人に相続欠格事由があるか否か等を審理判断し,遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより,遺産分割審判の手続等における上記の点に関する紛議の発生を防止し,共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。このような上記訴えの趣旨,目的にかんがみると,【要旨】上記訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり,いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。

 3 以上によれば,共同相続人全員を当事者としていないことを理由に本件訴えを却下した原審の判断は,正当として是認することができる。所論引用の判例は,事案を異にし,本件に適切なものとはいえない。論旨は,採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 金谷利廣 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田宙靖)

この判例に関する評釈

「最新判例演習室」 和田吉弘(青山学院大学教授) 法学セミナー601号123頁(2005年)
堤龍弥(関西学院大学教授) ジュリスト1291号132頁平成16年度重要判例解説(2005年)

特に指定がないものは、最高裁判所判決です。
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