法律学研究支援室

判例 H14.11.05 第一小法廷・判決 平成11(受)1136 死亡保険金支払請求権確認請求事件(第56巻8号2069頁)

判示事項:
  自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為と民法1031条に規定する遺贈又は贈与

要旨:
  自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできない。

参照・法条:  民法1031条,商法675条1項

内容:
 件名  死亡保険金支払請求権確認請求事件 (最高裁判所 平成11(受)1136 第一小法廷・判決 棄却)
 原審  H11.06.30 福岡高等裁判所 (平成11(ネ)183)

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理    由

 上告代理人尾倉洋文の上告受理申立て理由について

 【要旨】自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできないと解するのが相当である。けだし,死亡保険金請求権は,指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって,保険契約者又は被保険者から承継取得するものではなく,これらの者の相続財産を構成するものではないというべきであり(最高裁昭和36年(オ)第1028号同40年2月2日第三小法廷判決・民集19巻1号1頁参照),また,死亡保険金請求権は,被保険者の死亡時に初めて発生するものであり,保険契約者の払い込んだ保険料と等価の関係に立つものではなく,被保険者の稼働能力に代わる給付でもないのであって,死亡保険金請求権が実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたものとみることもできないからである。

 これと同旨の見解に基づき,上告人らの予備的請求を棄却すべきものとした原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横尾和子 裁判官 藤井正雄 裁判官 町田 顯 裁判官 深澤武久 裁判官 甲斐中辰夫)

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