法律学研究支援室


財産権と経済活動の自由
 憲法第22条1項は「何人も公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有する。」
 憲法第29条1項は「財産権はこれを侵してはならない」と規定している。
その保障形態には、手続的保障と内容的保障がある。
 まず、手続的保障とは、関税法違反被告事件(昭37・11・28)において「告知、弁護、防禦の機会を与えられる事なくして、第三者の所有物を没取する事は、適正な法律手続きによらないで、財産権を侵害する制裁を科する」事になると判示されたが、財産権は適正手続なしに侵害されないと言う事である。内容的保障に関しては、憲法第29条2項によって法律による制約・規制を受けるということである。つまり、公共の福祉にかなう正当な立法目的の下、その目的を達するための合理的手段によって、職業選択の自由は規制されることになる。
 現在、この規制目的には、二種類あるとされている。すなわち、消極目的規制と積極目的規制である。消極目的規制は、社会秩序維持と言う自由権的な立場に立ち、積極目的規制は、社会経済政策と言う社会権的な立場に立っている。この立場の違いから裁判所も、目的の違いによって審査の方法を変えている。そもそも経済活動の自由の規制に関しては、二重の基準論から、合憲性が推定されているが、自由主義的な立場に立つ消極目的規制には、自由権の要請から「厳格な合理性の基準」が採用され、社会権的な立場に立つ積極目的規制には、「明白性の原則」を採用し、立法府の広い裁量を認めている。
 消極目的規制の判例としては、薬局開設距離制限事件がある。この判例では薬事法の規制目的は、消極目的規制であると判断した上で、厳格な合理性の基準を用いて、「規制目的と距離制限の間に合理的関連を支える立法事実は存在しない」として、距離制限が違憲であることを示した。
 積極目的規制の判例としては、小売商事件がある。この判例では「小売市場の許可規制は、国が社会経済の調和的発展を企図すると言う観点から、中小企業保護政策の一つとしてとった措置と言え、その目的において合理性を認める事ができる。」として、小売市場の許可制を合憲とした。
 また、昭30年の公衆浴場営業の距離制限に関する裁判において、「公衆浴場の濫立により、浴場の衛生設備の低下等好ましくない影響をきたす恐れがある」として、消極目的規制の立場から合憲判断がされた。 しかし、平元年の同裁判においては、全判決のような消極目的による理由と、「自家風呂の普及にともない公衆浴場業の経営が困難になっている事などにかんがみ、既存公衆浴場業者の経営の安定をはかる事により、必要不可欠な厚生施設である公衆浴場を確保しようとしている」という積極目的規制の立場からの理由をつけ、消極目的、積極目的の両方から距離制限合憲の判決がされた。

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