法律学研究支援室


使用者
労基法上の使用者
労基法10条は、使用者を「事業主又は事業の経営担当者その他の事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者を言う」と規定する。「事業主」は、労働契約上の使用者と一致するが、労基法の定義は「事業主」以外の者を含む広い定義である。これは、職場において実際に労働者を指揮監督し、労務管理を行う者にも労基法上の責任を負わせる趣旨に基づく。
労働契約上の使用者
社外労働者受け入れの場合、労働者は、受入企業の労働者たる地位を主張できるか。
業務処理請負においては、就労場所が受け入れ企業でも、労働契約の相手方である請負会社が指揮命令を行い、すべての使用者責任を負う建前とされており、原則としてできない。
ただし、例外的に受入企業との労働契約が黙示的に成立することがある。請負企業との関係が形骸化する一方で、受入企業との間で事実上の指揮命令関係(使用従属関係)に加え、労働契約関係の実態が備わった場合である。
具体的には、@受入企業が指揮命令権以外に配置権限を有して労働者を管理していること、A受入企業が実質的に賃金決定していること、B請負企業などが形骸化し、労務管理や賃金支払いの代行機関と化していることが要件となる。
また、受入企業は、労働契約の成否とは別に個別的権利義務の主体となる。ただし、使用者責任が派遣元・派遣先のいずれに課されるかは労働条件に応じて異なる。
労組法上の使用者
労組法上の使用者には、労働協約の当事者or不当労働行為の主体としての使用者が問題となる。団体交渉の当事者としての使用者は、第一に労働者を雇用する者を指す。不当労働行為制度は、使用者の契約上の責任を追及する制度ではなく、使用者による団結権侵害行為を排除・是正して正常な労使関係を回復させることを目的とするため、契約当事者としての使用者に限定する必要はない。したがって、使用者は、「労働契約関係にないし、それに近似ないし隣接する関係」に立つ者と解する。
隣接する関係としては、近い過去において労働契約が会った者があげられる。この場合労働契約上は使用者ではないが、労働組合との関係では、解雇の撤回や解雇条件に関する団体交渉を拒否できない。
近似する関係としては、社外労働者受入れの場合があげられる。判例も、部分的使用者性を肯定し、「自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とは言え同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、使用者にあたる」とした。

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