法律学研究支援室


労働協約いろいろ
 労働協約で労働者に義務を設定できるか。出向・時間外労働義務等を設定できるかが問題となる。
 この点、労働協約は、団体交渉によって個別交渉によるよりも有利な労働条件を設定しここの労働者がそれを享受するという意義を果たす点を強調し、労働協約によって、労働条件基準を設定できても、労働者に不利益となる労働者の義務は設定できないとする見解もある。
 しかし、労働協約は、団体交渉の結果締結されるものであるから、交渉の結果によっては、労働者にとって有利な定めと不利な定めとが相まって全体として「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」とされるなど、労働者にとって不利な定めが労働協約に含まれる場合もありうることであって、仮に労働協約によって不利益な定めができないとすると、組合の任務や協約の機能を著しく縮小することになり、憲法28条の定める集団的労使自治の趣旨を没却することになる。また、個人の意思決定に委ねるより、団体交渉の成果たる協約のほうが労使間の利益調整を適正になしうるし、労組法16条の「労働者の待遇に関する基準」に労働者の義務が含まれると解しうる。
 したがって、原則として、労働協約によって義務を設定することは可能であると解する。
 ただし、労働者の個別的同意なしに義務を定めるものである以上、労働協約において義務を設定する場合には、義務規定の内容が、給与保障や期間制限などを含むなど、合理性・相当性を有していることが必要であると解する。

 次に、労働協約によって、労働条件の不利益変更はできるか。
 思うに、労組法は、労働協約によって労働条件を長期的・総合的に維持改善しようとする。したがって、一部不利益と言う理由でその効力を否定することは、労働組合の任務・労使自治を不当に制約することになり、憲法28条の趣旨に反する。また、労働協約は、就業規則の場合における使用者側の一方的変更と異なり、労働組合による団体交渉の成果として合意を経て締結されるものである。そして、労働組合は、組合員の意見・利益を反映して交渉するのであるから、組合員は、自己の意見・利益を交渉に反映させることができるといえる。
よって、労働協約によって労働条件の不利益変更はできると解する。また、集団的労使自治を重視し、司法審査は抑制的であるべきである。
 しかし、他律的決定の側面は否めないから、例外的にその効力が否定される場合がある。この場合でも、内容の合理性に関しては集団的労使自治重視の観点から司法審査は抑制的であるべきであり、法令違反、不合理的であることが明白である場合など限定的であると解する。よって、審査に当たっては、手続的要件を重視すべきであり、組合が、公正代表義務を果たしたか、組合員の正当な授権を受けたかなど、組合員の意思・利益を正当に代表するかどうかを審査すべきであると考える。

 労組法17条は、4分の3以上の労働者適用を受ける労働協約は、同種の労働者に関しても適用されると定める。では、非組合員にも不利益条項は及ぶか。
 思うに労組法の趣旨は、4分の3以上の労働者に適用される労働協約上の労働条件によって当該事業場の労働条件を統一し、労働組合の団結権の維持強化と当該事業場における公正妥当な労働条件の実現を図ることにあると解する。そして、労組法は、労働協約によって労働条件を長期的・総合的に維持改善しようとするものであり、一部不利益と言う理由でその効力を否定することは、労働組合の任務・労使自治を不当に制約することになり、憲法28条の趣旨に反する。また、労働協約は、就業規則の場合における使用者側の一方的変更と異なり、労働組合による団体交渉の成果として合意を経て締結されるものである。
よって、非組合員であっても労働協約の不利益条項は及ぶものと解する。
 しかし、組合員の場合と異なり、非組合員は、労働組合に自己の意見・利益を反映することができないし、組合も非組合員の利益を代表する立場にない。
 したがって、組合員の場合よりも効力が否定される場合が拡大するものと解すべきである。具体的には、不利益の程度・内容、労働契約締結の経緯(必要性)、非組合員が労働組合の組合員資格を認められているか等によって審査し、当該労働協約を適用することが非組合員とって著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、効力を否定すべきであると解する。
 この場合、非組合員とは、問題となった労働協約を締結した労働組合に属さない、全「同種の労働者」を指し、通常の非組合員概念とは違うことに注意。


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