法律学研究支援室


人権の私人間効力
 本来、憲法は、国と国民との権利関係を規定する公法である。したがって、憲法の人権保障規定を私人間の関係に適用できるかが問題となる。
 この問題に対して、学説においては、非適用説、直接適用説、間接適用説がある。しかし、人権の価値は、実定法秩序の最高の価値であり公法・私法を包括した全法秩序の基本原則であって、すべての法領域に妥当すべきものであるから、憲法の人権規定は私人による人権規定は私人による人権侵害に対しても何らかの形で適用されなければならない。したがって、非適用説はとるべきではない。
 そこで、直接適用説について考えると、憲法の人権規定の直接適用を認めると、市民社会の原則である私的自治の原則が広く害される恐れがあり、また、社会権的な側面を持つ自由権といった複合的な性格を持つ権利の直接適用を認めると、かえって、国家権力の介入を是認する機会を与えてしまうことになる。
 以上から、間接適用説が妥当と考える。間接適用説は、法令の解釈の際に人権規定の趣旨を考慮し、当該権利侵害を民法90条の「公序良俗」の条文等によって、紛争解決を図ろうとするものである。
 判例としては、三菱樹脂事件、日産自動車事件、昭和女子大事件がある。三菱樹脂事件では、「憲法19条、14条の各規定は、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではなく、私的支配関係においては、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為の諸規定等の適切な運用によって、私的自治の原則を尊重しながら、社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途が存する」として、間接適用説をとっている。日産自動車事件では、間接適用説に立ち、男女別定年制を、民法90条に違反するとし、民法90条に憲法14条の趣旨が取り込まれていることを明らかにした。憲法違反を理由に退学処分の取消を求めた、昭和女子大事件においても、裁判所は、間接適用説に立ち、憲法の人権保障規定は、直接私人間に適用されないことを示した。

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