法律学研究支援室

判例 H14.02.14 第二小法廷・決定 平成12(あ)411 住居侵入,窃盗,強盗致傷,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(第56巻2号86頁)

判示事項:  窃盗犯人による暴行が窃盗の機会の継続中に行われたものとされた事例

要旨:  窃盗犯人が他人の居宅で財物を窃取した後もその天井裏に潜み,犯行の約3時間後に駆け付けた警察官に対し逮捕を免れるため暴行を加えたなど判示の事実関係の下においては,その暴行は窃盗の機会の継続中に行われたものというべきである。

参照・法条:  刑法238条,刑法240条

内容:
 件名  住居侵入,窃盗,強盗致傷,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件 (最高裁判所 平成12(あ)411 第二小法廷・決定 棄却)
 原審  H12.02.22 仙台高等裁判所 (平成11(う)114)

主    文
       本件上告を棄却する。

理    由

 弁護人立田廣成の上告趣意は,事実誤認,量刑不当の主張であり,被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも適法な上告理由に当たらない。

 なお,原判決の認定によれば,被告人は,被害者方で指輪を窃取した後も犯行現場の真上の天井裏に潜んでいたところ,犯行の約1時間後に帰宅した被害者から,窃盗の被害に遭ったこと及びその犯人が天井裏に潜んでいることを察知され,上記犯行の約3時間後に被害者の通報により駆け付けた警察官に発見されたことから,逮捕を免れるため,持っていた切出しナイフでその顔面等を切り付け,よって,同人に傷害を負わせたというのである。【要旨】このような事実関係によれば,被告人は,上記窃盗の犯行後も,犯行現場の直近の場所にとどまり,被害者等から容易に発見されて,財物を取り返され,あるいは逮捕され得る状況が継続していたのであるから,上記暴行は,窃盗の機会の継続中に行われたものというべきである。したがって,被告人に強盗致傷罪の成立を認めた原判断は,相当である。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河合伸一 裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷 玄)

この判例に関する評釈

判例時報1778号159頁
「最新判例批評」 只木誠(中央大学教授) 判例時報1831号211頁(判例評論537号49頁)

特に指定がないものは、最高裁判所判決です。
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