法律学研究支援室

判例 H10.03.26 第一小法廷・判決 平成6(オ)1408 不当利得返還(第52巻2号483頁)

判示事項:
 債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準

要旨:
 債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。

参照・法条: 民法177条,民法304条,民法372条,民事執行法145条

内容:
件名  不当利得返還 (最高裁判所 平成6(オ)1408 第一小法廷・判決 棄却)
原審  H06.04.12 東京高等裁判所

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理    由

 上告代理人小沢征行、同秋山泰夫、同藤平克彦、同香月裕爾、同香川明久、同露木琢磨の上告理由について

 一般債権者による債権の差押えの処分禁止効は差押命令の第三債務者への送達によって生ずるものであり、他方、抵当権者が抵当権を第三者に対抗するには抵当権設定登記を経由することが必要であるから、債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ、右の差押命令の第三債務者への送達が抵当権者の抵当権設定登記より先であれば、抵当権者は配当を受けることができないと解すべきである。

 以上と同旨に帰する原審の判断は正当として是認することができ、論旨は採用することができない。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷

         裁判長裁判官    大   出   峻   郎
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    藤   井   正   雄

この判例に関する評釈

判例時報1638号74頁
「時の判例」 占部洋之(大阪学院大学講師) 法学教室216号100頁(1998年)

特に指定がないものは、最高裁判所判決です。
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