法律学研究支援室

判例 平成15年12月11日 第一小法廷判決 平成15年(あ)第520号 ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件

要旨: ストーカー行為等の規制等に関する法律2条1項,2項,13条1項は,憲法13条,21条1項に違反しない

内容:  件名 ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件 (最高裁判所 平成15年(あ)第520号 平成15年12月11日 第一小法廷判決 棄却)
原審 大阪高等裁判所 (平成14年(う)第1465号)

主    文  本件上告を棄却する。

理    由

 1 弁護人福島昭宏の上告趣意のうち,規制の内容に関し憲法13条,21条1項違反をいう点について

 所論は,ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」という。)2条1項,2項,13条1項は,規制の範囲が広きに過ぎ,かつ,規制の手段も相当ではないから,憲法13条,21条1項に違反する旨主張する。

 ストーカー規制法は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的としており,この目的は,もとより正当であるというべきである。そして,ストーカー規制法は,上記目的を達成するため,恋愛感情その他好意の感情等を表明するなどの行為のうち,相手方の身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる社会的に逸脱したつきまとい等の行為を規制の対象とした上で,その中でも相手方に対する法益侵害が重大で,刑罰による抑制が必要な場合に限って,相手方の処罰意思に基づき刑罰を科すこととしたものであり,しかも,これに違反した者に対する法定刑は,刑法,軽犯罪法等の関係法令と比較しても特に過酷ではないから,ストーカー規制法による規制の内容は,合理的で相当なものであると認められる。

 以上のようなストーカー規制法の目的の正当性,規制の内容の合理性,相当性にかんがみれば,同法2条1項,2項,13条1項は,憲法13条,21条1項に違反しないと解するのが相当である。このように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁昭和57年(行ツ)第156号同59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁,最高裁昭和57年(あ)第621号同60年10月23日大法廷判決・刑集39巻6号413頁)の趣旨に徴して明らかである。

 2 同弁護人のその余の上告趣意について

 所論は,ストーカー規制法2条2項の「反復して」の文言は不明確であるから憲法13条,21条1項,31条に違反する旨主張する。しかしながら,ストーカー規制法2条2項にいう「反復して」の文言は,つきまとい等を行った期間,回数等に照らし,おのずから明らかとなるものであり,不明確であるとはいえないから,所論は前提を欠くものである。

 その余は,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 よって,刑訴法408条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 深澤武久 裁判官 横尾和子 裁判官 泉 コ治 裁判官 島田仁郎)

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