法律学研究支援室


旧司法試験・刑法

昭和31年

第1問
 過剰行為

第2問
 親族相盗例

昭和32年

第1問
 見張り行為

第2問
 死者の名誉毀損

昭和33年

第1問
 身分犯

第2問
 賄賂の収受

昭和34年

第1問
 承継的共同正犯

第2問
 背任と横領の区別

昭和35年

第1問
 原因において自由な行為

第2問
 恐喝罪と権利の行使

昭和36年

第1問
 自救行為

第2問
 名誉毀損における事実の証明

昭和37年

第1問
 不真正不作為犯における作為義務

第2問
 債務の支払を免れるため、債権者を殺害した者の刑事責任

昭和38年

第1問
 未必の故意

第2問
 代理名義の冒用と文書偽造罪の成否

昭和39年

第1問
 中止未遂

第2問
 住居侵入罪

昭和40年

第1問
 正当防衛と緊急避難との異同

第2問
 放火罪と公共の危険

昭和41年

第1問
 責任能力

第2問
 甲は、金品を取ろうと思って丙を殺し、その懐中から財布を取った。乙は、物陰からこれを見ていたが、甲が立ち去った後、丙の腕から時計を取った。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和42年

第1問
 次の場合における甲およびAの刑責について論ぜよ。  1  甲は、自分の母親が老衰して足手まといになるので、友人乙に頼んで、山中に捨てさせた。  2  Aは、自分の息子が喧嘩で人を傷つけて逃げてきたので、友人Bに頼んで、その家にかくまってもらった。

第2問
 甲は、某国立大学受験生の父親乙に対して、同大学事務官丙を買収して試験問

題を入手してやるからと言って10万円出させたが、その内5万円を丙に届け、残りを費消してしまった。甲の罪責について論ぜよ。

昭和43年

第1問
 甲は、乙を殺すつもりで、乙に向かってピストルを撃ったところ、弾丸は乙にかすり傷を与えたうえに、傍らにいた丙に当って、同人を死亡させた。この場合における甲の罪責につき、自説を述べ、あわせて反対説を批判せよ。

第2問
 使用窃盗

昭和44年

第1問
 過失の共同正犯は認められるか。自説を述べ、あわせて反対説を批判せよ。

第2問
 税務署員甲は、納税義務者乙に対して、「金10万円を提供しなければ、脱税の事実を摘発する。」と脅かしたところ、乙はこれを恐れて、金10万円を甲に交付した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和45年

第1問
 甲は、乙と口論中、乙が興奮して手を振り上げたのを自分になぐりかかってくるものと誤信し、その難を避けようとして、たまたま所持していた日本刀で乙に切りつけたところ、乙は出血多量のため、即死した。甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に対して債務の担保として自己所有の土地に抵当権を設定したが、まだその登記がされていないのに乗じ、その事実を秘し、丙に対する債務の担保として同人のために同一土地に抵当権を設定し、直ちにその登記を完了した。甲の罪責を論ぜよ。

昭和46年

第1問
 窃取された自己の所有物を数日後、窃盗犯人から取り返した者の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に向かって、自分の父丙方に忍び込んで丙の秘蔵している骨董品を盗み出して来たら高価で買いとってやると唆した。乙は、甲から唆されてその気になり、丙方に侵入して骨董品を盗み出した上、これを甲に売却した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和47年

第1問
 甲は、人を殺して逃走中、知人乙宅に行き、乙に対して、自分は人に傷を負わせて警察から追われているので、しばらくかくまってもらいたいと依頼した。乙は、迷惑に思い、一旦は断ったが、甲が再三懇願するので、やむなく自宅にかくまってやった。甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に対して、丙宅に押し入って強盗をするようにそそのかした。乙は、甲から唆されてその気になり、丙宅に押し入り、おもちゃのピストルを丙に突きつけ、金を出せと脅した。生命の危険を感じた丙は、無我夢中でガラス窓を破って外に逃れ、大声で助けを求めた。そのため、乙は、何も取らないで逃走した。なお、丙は、ガラス窓を破ってのがれた際、ガラスの破片で手足など数カ所に全治10日間の傷を負った。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和48年

第1問
 甲は、乙を毒殺しようとして、毒入りの酒を飲ませたところ、致死量に至らなかったので、殺すことができなかったが、乙の苦しみがあまりに激しいので、かわいそうになり、医師に手当をしてもらおうと思い、医師丙のところに連れていった。ところが、丙が処置を誤ったため、乙は死亡した。甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、休日の朝、勤務先の自動車を無断借用して旅行に出かけ、夕方帰る途中、運転を誤って通行人乙をはね、重傷を負わせた。甲は、乙を病院に運ぶつもりで一旦は、車を止めたが、そんなことをすると自動車の無断使用まで判ってしまうと考え直し、乙が死んでくれれば好都合と思い、乙を現場に放置して逃走し、自動車を勤務先のガレ−ジに返しておいた。なお、乙は、甲の逃走後、現場を通りかかった丙に助けられ、病院に運ばれて一命をとりとめた。甲の罪責を論ぜよ(道路交通法違反の点は除く)。

昭和49年

第1問
 名誉毀損罪における事実の真実性に関する錯誤

第2問
 ビルの夜間警備員甲は、巡回中にビル内の事務室から手提金庫を盗み出そうとしている男を発見したが、後ろ姿からみてそれが知合いの乙であることに気が付いたので、そのまま見逃してやった。翌日、甲は、乙に対して、「昨夜のことは俺が見ていた。口止め料をよこさなければ犯行をばらすぞ。」と言っておどし、乙の盗んだ現金のうち20万円を受け取った。甲の罪責を論ぜよ。

昭和50年

第1問
 被害者の承諾は、傷害罪の成否にどのような影響を及ぼすか。

第2問
 甲は、一人住いの老人Aが自宅に多額の現金を蓄えていることを知り、乙にA宅に押し入ってその金を強取することをそそのかした。その気になった乙は、某夜、A宅に押し入り、Aの胸ぐらをつかみ、所携の鉄棒を振り上げ、「金を出せ。出さぬと痛い目をみるぞ。」と脅した。ところが、Aは、乙の手を振り切り、大声で助けを求めながら、逃げようとしたので、乙は、とっさにAを殺して現金を奪おうと考え、鉄棒でAの頭部を乱打してこれを殺害した。乙は、Aの死亡を確かめた後、戸棚の奥に隠してあった現金を見つけ、これを奪って逃走した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和51年

第1問
 甲と乙は、丙から教そそのかされてA宅に侵入して強盗することを決心し、某夜、共に短刀を持ってA宅に赴いたが、戸締りが厳重なので、A宅への侵入を断念した。甲は、「せっかく来たのだから、別の家に強盗に入ろう。」と乙に言ったが、乙は、これに応ぜず、帰ってしまった。甲は、ひとりでB宅に侵入し、Bに短刀を突きつけ、金品を強取した。  甲、乙および丙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲女は、乙女に対する恨みを晴らすために、乙女を強姦してくれと丙に頼み、深夜、帰宅途中の乙女を丙と共に路上で待ち受け、甲女が乙女の頭部をこん棒で強打し、気絶した乙女を丙が姦淫した。乙女は、甲女に殴打されたため、頭部に全治10日間を要する打撲傷を負った。  甲女および丙の罪責を論ぜよ。

昭和52年

第1問
 甲は、Aを殺害しようと考え、Aの自宅に毒入りウイスキ−を郵送したが、Aの家族が右ウイスキ−を飲んではいけないと思い、Aの妻乙に電話をし、右ウイスキ−には毒が入っているから投棄する様に告げた。  しかし、乙は、Aと不仲であったので、Aが飲んで死んでしまえば良いと思い、そのまま放置しておいたところ、長男Bが右ウイスキ−を飲もうとしたので、これを取り上げて投棄した。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、散歩中、公園のベンチの上に置き忘れられていた友人Aのカメラを発見し、これをAのもとに届ける途中、たまたま出会った友人乙から、「どうせ分らないのだから、いっそのこと金に換えて君の小遣いにしたらどうか。」と勧められてその気になり、乙に換金方を依頼した。乙は、そのカメラをB質店に持参して、「自分のものだ。」と偽って入質し、受け取った現金を甲に手渡した。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和53年

第1問
 先行行為に基づく作為義務について論ぜよ。

第2問
 甲は、窃盗の目的で、A会社の倉庫の前にトラックを停め、倉庫内に立ち入って物色中、守衛Bに発見され逮捕されそうになったので、倉庫内でBと格闘した上Bを縛り上げた。その際、甲は、左手に負傷したため、友人乙を電話で呼び寄せ、それまでの事情を打ち明け、甲と乙が協力して倉庫内から製品を運び出し、トラックに積み込んだ。その直後、倉庫内の製品が崩れ落ち、Bはその下敷きとなって即死した。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和54年

第1問
 甲は、乙と路上で口論していたが、乙が突然隠しもっていた短刀で切りかかってきたので、とっさに足もとにあったこぶし大の石を拾って投げつけたところ、石は、乙の額をかすり、更に、たまたま、その場を通行中の丙の目に当った。そのため、乙は全治3日間の傷を負い、丙は片目を失明した。  甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 公務執行妨害罪における「公務」と業務妨害罪における「業務」との関係について論ぜよ。

昭和55年

第1問
 ことさらに、自らを心神耗弱の状態に陥れて人を傷害した者の刑事責任を論ぜよ。

第2問
 甲は代金支払の意思がないのに、通りすがりの飲食店乙方で酒食を注文して飲食し、乙から飲食代金の支払を請求された際に、その支払を免れるため、ビ−ルびんで乙の頭部を強打して重傷を負わせ、そのすきに逃走した。甲の罪責について、自説を述べ、併せて反対説を批判せよ。

昭和56年

第1問
 共同正犯における中止未遂につき論述せよ。

第2問
 甲は、就職に利用するため、A国立大学法学部を卒業した旨の内容虚偽の卒業証明書を入手したいと思い、同学部会計係員であった友人乙に対して、「A大学の法学部長に賄賂を贈って卒業証明書を作ってもらいたいのでよろしく頼む。」と申し向け、同学部長への賄賂として現金50万円を乙に渡した。しかし、乙は、その後思い直して、自ら学部長印を盗用し、甲の卒業証明書を作り、これを甲に渡し、50万円を領得した。甲は、同学部長が賄賂を受け取り、卒業証明書を作ってくれたものと思い、その卒業証明書を受け取った。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和57年

第1問
 甲と乙は、甲が乙に軽度の傷害を与え、保険金名下に金員を詐取しようと共謀し、甲が自ら運転する自動車を乙の運転する自動車に追突させて、乙に軽傷を負わせた。右追突により、乙の自動車が突然対向車線に押し出されたため、対向車線を走行して来た丙の運転する自動車が避けきれずにこれに激突し、その結果、乙は死亡した。  被害者の承諾が犯罪の成否に及ぼす効果について概説し、かつ、甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 被告人甲は、自己の刑事被告事件の証人として喚問

を受けた友人乙に対して、乙の記憶に反することを知りながら、自己に有利な事実を証言してくれるように頼んだ。乙は、これに応じ、公判廷において宣誓の上、その記憶に反するにもかかわらず、甲に言われた通りの事実を証言した。ところが、乙の証言した内容は客観的事実に合致していた。  甲および乙の罪責につき、自説を述べ、併せて反対説を批判せよ。

昭和58年

第1問
 散歩中の甲は、乙が自宅前に鎖でつないでおいた乙の猛犬を見て、いたずら半分に石を投げつけたところ、怒った猛犬が鎖を切って襲いかかってきたので、やむなく隣家丙の居間へ逃げ込んだ。情を知らない丙は、突然、土足で室内へ飛び込んできた甲を見て憤慨し、甲の襟首をつかんで屋外へ突き出したところ、甲は猛犬にかまれて重傷を負った。甲、乙および丙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に、多少傷を与えてもいいからAを痛めつけろと命じた。これを承知した乙は、人通りのない道路上で、Aに殴りかかった。ところが、思いがけずAが激しく反撃してきたので、乙は腹を立て、Aが死亡しても構わないと思い、傍らにあった石でAの頭部を強打したところ、Aは頭から血を流してその場にうずくまった。乙は、Aのズボンのポケットから財布がのぞいているのを見つけ、これを領得する気になり、その財布を抜き取って立ち去った。その後、Aは出血多量のため間もなく死亡した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和59年

第1問
 甲は、一人暮しのAを殺害しようと考え、致死量の数倍に当たる毒薬を混入した高級ウイスキ−をその情を知らない知人Bに渡しそれをA方に届けてくれるよう依頼した。ところが、Bは間違ってC方に右ウイスキ−を届けたため、Cの長男である大学生DがCあてのウイスキ−であると誤信してこれを友人E・Fと共に飲み、全員中毒死した。甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 不動産業者甲は、事業の行き詰まった友人乙から資金の融通を求められたので、たまたま丙からその所有する土地を担保として2,000万円の金員借入れの斡旋を依頼され、白紙委任状、権利証等を預っていることを奇貨とし丙の代理人名義で欲しいままに借用証を作成し、これを金融業者丁に交付して同人から現金5,000万円を借り受け、そのうちの2,000万円は丙に渡したが、残りの3,000万円は乙に融通してやった。甲の罪責を論ぜよ。

昭和60年

第1問
 甲女は、生後4ヵ月の実子Aの養育に疲れ、厳寒期のある夜、人通りの少ない市街地の歩道上に、誰かに拾われることを期待してAを捨てた。そこを通りかかった乙は、Aに気づき、警察署の送り届けようとして、自己の自動車の乗せて運転中、誤って自動車を電柱に衝突させ、Aにひん死の重傷を負わせた。乙は、Aが死んだものと思い、その場にAを置き去りにして自動車で逃走したところ、Aは、その夜凍死した。甲女および乙の罪責につき、自説を述べ、併せて反対説を批判せよ(道路交通法違反の点は除く。)。

第2問
 保釈中の被告人甲は、病気を理由に公判審理を引き延ばそうと考え、高血圧症のAに対し、甲の名前をかたってB国立病院で診察を受け診断書をもらってくるように依頼した。そこで、Aは、同病院に赴き、甲と偽って内科部長医師乙の診療を受け、甲が高血圧症により約3ヵ月間の安静加療を要する旨の乙作成名義の診断書を得て、これを甲に渡した。その後、乙は、甲に利用されたことを知って、妻丙女に事情を打ち明けたところ、丙女は、診断書作成の謝礼や口止め料として多額の金銭を甲に要求しようと迫った。そこで、乙は、甲に対し、診断書作成の謝礼として、100万円を持ってこなければ裁判所や警察に真相を通報するなどと告げた。そのため、不安を感じた甲は、乙の言うままに丙女を通じて乙に対して現金100万円を渡した。  甲、乙および丙女の罪責を論ぜよ。

昭和61年

第1問
 過失犯の共同正犯について論ぜよ。

第2問
 甲は、同じ下宿の隣室に住んでいるAが他から盗んできたカメラを持っているのを知り、これを一泊旅行の記念撮影のため一時借用しようと思い、旅行の前日、Aの留守を狙ってその部屋に入った上、右カメラを持ち出し、翌日、これを持って旅行に出かけ、旅行先で写真を撮影し、旅行から戻った日に、右カメラを元の場所に返しておいた。甲の罪責を論ぜよ。

昭和62年

第1問
 自ら招いた危難を避けるためにした行為は緊急避難として認められるか。

第2問
 暴力団員甲は、密売人Aから覚せい剤を騙し取ろうと考え、Aに対し「400万円で覚せい剤1キロを売ってくれ。代金は10日後に払う。」と嘘をつき、Aから覚せい剤1キログラムを受け取った。約束の期日になっても甲が代金を支払わないので、Aは、甲に対し「400万円を払え。払わないなら覚せい剤を返せ。」と強く要求したところ、甲は、この取引を知っているのは自分とAだけであることを奇貨として、Aの要求を封ずるためAを殺害した。甲の罪責を論ぜよ。

昭和63年

第1問
 殺人の謀議を主宰し、各人の役割および実行行為を策定したが、殺害行為そのものには参加しなかった者の罪責につき、自説を述べ、あわせて反対説を批判せよ。

第2問
 甲は日頃恨みを抱いていたA女を痛めつけようと考え、夜間路上で待ち伏せした上、手拳で同女の顔面を強打したところ、同女は転倒し、後頭部を路面に打ちつけて失神した。これを見た甲は、同女が死んでしまったものと誤信し、強盗による犯行に見せかけるため、同女のハンドバックを持ち去り、付近の河中に投棄した。甲の罪責を論ぜよ。

平成元年

第1問
 中止犯の法的性格について述べ、あわせてそれが中止犯の成立要件にどのような影響を及ぼすか。

第2問
 A会社の技術職員甲は、同社が多額の費用を投じて研究開発した新技術に関する機密資料を保管し、時折は研究のため自宅に持ち帰っていた。B会社の社員乙は、A会社の機密を不正に獲得することを企て、甲に対し、その保管する当該資料のコピ−の交付を依頼し、礼金の半額100万円を支払い、残りの100万円はコピ−と引き替えに支払うことを約束した。甲は、コピ−を作成する目的で当該資料を一旦社外に持ち出し、近くのコピ−サ−ビスでコピ−を一部作成し、30分後に当該資料を会社の保管場所に返却した。その後、甲は、発覚をおそれてそのコピ−を渡さずにいたが、乙に督促されたため、個人的に所有する別のコピ−をA会社の機密資料のコピ−であると偽って乙に渡し、残金の100万円を受け取った。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

平成2年

第1問
 実行の着手について一般的にその意義を述べた上、間接正犯の実行の着手について論ぜよ。

第2問
 甲は、かねて顔見知りのA女(20歳)を強姦しようと企て、自宅まで送ってやると言って、同女を自分の車に乗せた。途中で方向の違うことに気付いたA女が「降ろして」と頼んだが、甲は、構わず車を疾走させた。人気のない山中に着くと、甲は、強姦の目的でA女を無理やり車外に引っ張りだし、押し倒そうとした。極度に畏怖したA女は、「お金をあげるから勘弁して」と言って、現金3万円入りの財布を差し出した。甲がこの財布をA女から取り上げ、中身を調べているすきに、A女は逃げ去った。  甲の罪責について論ぜよ。

平成3年

第1問
 甲は、Aと喧嘩して同人を木刀で殴打しているところに友人乙が通りかかったので加勢を求めたところ、乙は、角材を手にして甲と共にAを殴打した。その結果、Aは、全身打撲の傷害を負い、内臓破裂により死亡したが、死因となった内蔵破裂が乙の加勢後の殴打によるものかどうかは不明である。甲および乙の罪責につき、反対説に言及しながら自説を述べよ。

第2問
 公務員甲は、関係業者乙から正当な職務行為の依頼を受けて、これを行った。その後において、甲は、乙に対し、当該行為が不正なものであったかのように偽り、その旨誤信させた上、謝礼を要求し、現金を受け取った。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

平成4年

第1問
 甲は、乙に、Aを殺害すれば100万円の報酬を与えると約束した。そこで、乙がAを殺そうとして日本刀で切り付けたところ、Aは、身をかわしたため、通常であれば二週間で治る程度の創傷を負うにとどまったが、血友病であったため、出血が止まらず、死亡するに至った。甲は、Aが血友病であることを知っていたが、乙は知らなかった。  甲および乙の罪責について、自説を述べ、併せて反対説を批判せよ。

第2問
 甲は、スナック経営者乙から、高級ウイスキー2ダースの保管を依頼され、それを引き受けて自宅に保管したが、数日後、そのウイスキーは、大量に盗まれたものの一部であることを知った。甲は、警察に届け出ようかと迷ったが、結局、自分で飲んだり、友人に贈ったりして、全部処分してしまった。その後、乙が、「預けた物を返して欲しい。」と言ってきた際、甲が、「警察が来て、取り調べるからと言って持って行ってしまった。」と言ったので、乙はそれを信用して帰った。  甲の罪責を論ぜよ。

平成5年

第1問
 甲は殺人の意思で、乙は損害の意思で共同してAに切りかかり、そのためAは死亡したが、それが甲の行為によるものか乙の行為によるものか判明しなかった。共同正犯の本質に論及しつつ、甲および乙の罪責について論ぜよ。

第2問
 甲は、現金を盗もうと考え、A方に侵入し、タンスの中を物色したところ、茶封筒があり、それを取り出して中を見ると現金10万円が入っていたので、ポケットにしまって引き上げた。自宅に帰る途中、もう一度中を見ると、B信販会社発行のA名義のクレジットカ−ドが現金に紛れて入っているのに気付いた。そこで、甲は、このクレジットカ−ドを利用しようと考え、翌日、加盟店であるCデパ−トに行き、Aを装って同カ−ドを使い5万円相当のカメラを購入した。その代金相当額は、後日、B信販会社からCデパ−トに支払われた。  甲の罪責を論ぜよ。

平成6年

第1問
 甲は、対立抗争中の暴力団の組員に襲われた場合に備えて、護身用に登山ナイフを身に付けていたところ、ある日、薄暗い夜道を帰宅途中、乙が、いきなり背後から前に回り込んできて、右手を振り上げて立ちふさがったので、組員が殴りかかってくるものと思い込んで危険を感じるとともに逆上し、殺意を持って登山ナイフで乙の腹部を1回突き刺し、全治3か月の傷害を負わせた。なお、乙は、甲を友人の丙と勘違いし、丙を驚かせるつもりで甲の前に立ちふさがったものである。  甲について、殺人未遂罪の成否を論ぜよ。

第2問
 甲は、無賃乗車をしようと決意し、乙が運転するタクシーを停車させ、乗車後、乙に対し、A地点までの運転を依頼したので、乙はタクシーを発車させた。同地点の一キロメートル手前に来た時、甲は、逃走するため、「ちょっと電話をかけたい。」と言って停車を指示したので、乙はこれにしたがって停車した。甲は、タクシーから降りて付近の電話ボックスの方に向かったが、挙動に不審を持った乙が追いかけてきたので運賃の支払いを免れるため、乙を殴り倒して気絶させた。甲は、更に売上金を奪おうと考え、タクシーの中から5万円を持ち出して逃走した。  甲の罪責を論ぜよ。

平成7年・文試験・刑法

第1問
 甲は乙から、「強盗に使うのでナイフを貸してくれ」と依頼され、これに応じてナイフを乙に渡した。その後、乙は、丙・丁に対し、「最近、知り合いのAが多額の保険金を手に入れたので、それぞれがナイフを準備してA宅に強盗に押し入ろう。」と持ち掛け、3名で計画を立てた。ところが、乙は、犯行当日の朝になって高熱を発したため、「おれはこの件から手を引く。」と、丙・丁に電話で告げて、両名の承諾を得た。しかし、丙・丁は予定どおり強盗に押し入り現金を奪った。  甲および乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

第2問
 甲は、実在の弁護士と同姓同名であることを利用して金銭を騙し取ろうと考え、請求者欄に「弁護士甲」と記入した上、自己の印鑑を押して報酬請求書を作成し、これを甲弁護士が顧問

をしているA会社のB経理部長に郵送して、自己名義の銀行口座に請求金額を振り込むように指示した。不自然に思ったBは、甲弁護士に問

い合わせて、虚偽の請求であることを知り、振り込まないでいたところ、甲が執ように催促の電話をかけてきたので、金額もわずかであり、これ以上関わり合うのは面倒であると考え、請求金額を指定された銀行口座へ振り込んだ。  甲の罪責を論ぜよ。

平成8年

第1問
 甲および乙は、友人Aに対して、2人で殴る蹴るの暴行を加え、傷害を負わせた。甲および乙は、Aを甲のアパートに連れて行き、傷の手当をしていたが、Aが次第に高熱を発し、意識もうろうの状態になったため、Aが死亡するかもしれないと思ったものの、発覚を恐れ、放置しておくこととした。しかし、その後、乙は、Aがかわいそうになり、甲の外出中にAを近くの病院に運び込み、看護婦に引き渡した。ところが、当時、その病院の医師が、たまたま外出中であったため、手遅れとなり、Aは、甲および乙の暴行による内臓の損傷が原因で死亡してしまった。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 株式会社の専務取締役甲は、監督官庁に勤務する公務員乙から、会社が行っている、違法行為の摘発をほのめかされ、摘発しないことの見返りとして、現金100万円を要求された。そこで、甲は、会社の信用と自己の社内での地位が失墜することを恐れて、会社の役員交際費から乙に現金100万円を交付した。  甲および乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

平成9年

第1問
 学生の甲と乙が深夜繁華街を歩いていたところ、一見してやくざ風のAが、甲に因縁を付け、甲の胸ぐらをつかんで付近の路地に引っ張り込み、ナイフを甲に突きつけた。甲と乙は、身の危険を感じ、こもごもAの顔面を殴って路上に転倒させ、ナイフを奪い、これを遠くに投げ捨てた。甲はその場から逃げようとしたが、乙は、Aが転倒したまま「待ちやがれ。」と怒鳴って右手で上着のポケットを探っているのを見て、Aがまた刃物を取りだそうとしているものと勘違いし、Aの腹部を数回力まかせに蹴りつけた。その間、甲は乙を制止することなく、黙ってみていた。Aは、乙の暴行により、すい臓破裂の傷害を負って死亡した。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、たまたま居合わせた妻乙の面前で、隠し持っていたけん銃を用いてAを射殺した。甲は、殺人罪の訴追および処罰を免れる目的で、実弟である丙に対し、犯行に使ったけん銃を手渡し、身代わりとなるように依頼して警察に出頭させた。一方乙は、警察から参考人として事情を聞かれた際に、「確かに丙がけん銃を発射しAを殺害したところを見ていました」と供述した。  甲および乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点を除く。)。

平成10年

第1問
 甲は、愛人と一緒になるために、病気で自宅療養中の夫Aを、病気を苦にした首つり自殺を装って殺害する計画を立てた。そこで、甲は、まずAに睡眠薬を飲ませ熟睡させることとし、Aが服用する薬を睡眠薬とひそかにすり替え、自宅で日中Aの身の回りの世話の補助を頼んでいる乙に対し、Aに渡して帰宅するよう指示した。睡眠薬の常用者である乙は、それが睡眠薬であることを見破り、平素の甲の言動から、その意図を察知したが、Aの乙に対する日ごろのひどい扱いに深い恨みを抱いていたため、これに便乗してAの殺害を図り、睡眠薬を増量してAに渡した。Aは、これを服用し、その病状とあいまって死亡した。Aが服用した睡眠薬は、通常は人を死亡させるには至らない量であった。  甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は乙にAの殺害を依頼し、乙はこれを引き受けた。甲は、犯行準備のための資金として乙に現金100万円を手渡し、A殺害後には報酬としてさらに200万円を支払うことを約束した。その後、乙は、その妻丙から「甲なんかのために、危ない橋を渡ることはない。」と説得され、殺害を思いとどまり、丙と二人でその100万円を費消した。そのころ、Aは既に重病にかかっており、しばらくして病死したが、乙はこれに乗じて、甲に対し自分が殺害したように申し向けて約束の報酬を要求し、現金200万円を受け取った。その夜、乙は、丙にこれを自慢話として語り、同女にそのうちの100万円を与えた。  乙および丙の罪責を論ぜよ。

平成11年

第1問
 甲と乙は、乙の発案により、路上で通行人を恐喝して金を取ることを計画し、ある夜、これを実行に移すことにした。予定の場所に先に来た甲は、約束の時間を過ぎても乙が現れないため、いらいらしていたが、そこに身なりの良いAが通り掛かったので、計画を実行することにし、Aに近づいて「金を出せ。」と脅した。Aが逃げようとしたため、気の短い甲は、いっそAを気絶させた方が手っ取り早いと考え、携帯していたナイフの柄の部分で背後からAの頭を力任せに殴った。そこに現れた乙は、それまでのすべての事情を了解し、甲と一緒に、意識を失いぐったりしたAの懐中から金品を奪った。乙が一足先に立ち去った後、甲は、Aの様子がおかしいことに気付き、息をしていないように見えたことから既に死亡しているものと誤信し、犯行の発覚を防ぐため、Aの身体を近くの山林まで運び、茂みの中にそのまま放置した。Aは、頭部に受けた傷害のため数時間後に死亡した。  甲及び乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く)。

第2問
 甲は、食料品店主Aに対し、「指定した口座に400万円振り込まなければ、商品に毒を入れるぞ。」と電話で脅し、現金の振込先としてB銀行C支店の自己名義の普通預金口座を指定した。やむなくAが2回に分けて現金合計400万円の振込手続を行ったところ、200万円は指定された口座に振り込まれたが、2回目の200万円は、Aの手続ミスにより、同支店に開設され、預金残高が37万円であった乙の普通預金口座に振り込まれてしまった。その直後、乙が30万円を通帳を使って窓口で引き出したところ、なお残高が207万円となっていたので、誤振込みがあったことを知り、更に窓口で100万円を引き出した。乙は、家に戻りその間の事情を妻丙に話したところ、丙は、「私が残りも全部引き出してくる。」と言って同支店に出向き、乙名義の前記口座のキャッシュカードを用い、現金自動支払機で現金107万円を引き出した。  甲、乙及び丙の罪責について、他説に言及しながら自説を論ぜよ。

平成12年

第1問
 甲は、友人乙、丙に対して、Aが旅行に出かけて不在なので、A方に侵入し、金品を盗んでくるように唆した。乙、丙は、A方に侵入したところ、予期に反しAが在宅しているのに気付き、台所にあった包丁でAを脅して現金を奪い取ろうと相談し、Aに包丁を突き付けた。ところが、Aが激しく抵抗するので、乙は、現金を奪うためにAを殺害しようと考え、その旨丙にもちかけた。丙は、少なくとも家人を殺したくないと思っていたことから、意外な展開に驚き、「殺すめはやめろ。」と言いながら乙の腕を引つ張つたが、乙は、丙の制止を振り切つて包丁でAの腹部を刺し、現金を奪いその場から逃走した。丙は、Aの命だけは助けようと考え、乙の逃走後、直ちに電話で救急車を呼んだが、Aを介抱することなくその場に放置してA方を立ち去った。緒局Aは、救急隊員の到着が早く、一命を取り留めた。  甲、乙及ぴ丙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

第2問
 甲は、指名手配されて潜伏中、生活費に窮したため、Xという架空の氏名で就職しようと考え、履歴書用紙にXの氏名、虚偽の生年月目、虚偽の住所等を記入した上、Xと刻した印鑑を押捺し、更に甲自身の顔写真を貼付して履歴書を作成した。その後、甲は、広告で見たA社人事部にその履歴書をファクシミリで送信し、A社のファクシミリに受信・印字させ、A社人事部長Bの面接試験を受け、A社に入社した。甲は、自己の顔写真入りのX名の社員証を利用し、金融機関C社D支店からX名義で30万円を借りたが、当初の計画に従って期限内に利息分も含め返済した。  甲の罪責を論ぜよ。

平成13年

第1問
 甲は、酒癖が悪く、酔うと是非善悪の判断力を失い妻乙や2人の間の子供Aに暴行を加えることを繰り返しており、そのことを自覚していた。甲は、ある日、酒を飲み始めたところ、3歳になるAが台所で茶わんを過って割ってしまったことを見とがめ、Aの顔を平手でたたくなどのせっかんを始めた。甲は、しばらく酒を飲みながら同様のせっかんを続けていたところ、それまで泣くだけであったAが反抗的なことを言ったことに逆上し、バットを持ち出してAの足を殴打し重傷を負わせた。甲は、Aがさらに反抗したため、死んでも構わないと思いつつAの頭部をバットで強打し死亡させた。乙は、その間の一部始終を見ていたが、日ごろAが乙にも反抗的態度をとることもあって、甲の暴行を止めようとはしなかった。甲については、逆上しバットを持ち出す時点以降は是非善悪の判断力が著しく減退していたとして、甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 製薬会社の商品開発部長甲は、新薬に関する機密情報をライバル会社に売却して利益を得ようと企て、深夜残業中、自己が管理するロッカー内から新薬に関する自社のフロッピーディスク1枚を取り出した上、同じ部屋にあるパソコンを操作して同ディスク内の機密データを甲所有のフロッピーディスクに複写し、その複写ディスクを社外に持ち出した。その後、甲は、ライバル会社の乙にこの複写ディスクを売却することとし、夜間山中で乙と会ったが、乙は、金を惜しむあまり、「ディスクの中身を車内で確認してから金を渡す。」と告げて、甲からディスクを受け取って自己の車に戻り、すきを見て逃走しようとした。乙は、車内から甲の様子を数分間うかがっていたが、不審に思った甲が近づいてきたことから、この際甲は殺してしまおうと思い立ち、車で同人を跳ね飛ばして谷底に転落させた。その結果、甲は重傷を負った。  甲および乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。

平成14年

第1問
 甲は、Aに電話で罵倒されたため憤慨し、A方に赴けば必ず喧嘩になるだろうと思いながら、この機会にAを痛めつけてやろうと考え、こん棒を用意するとともに、友人の乙に、こん棒を持っているとは隠し、これからA方に話し合いに行くが、喧嘩になったら加勢して欲しいと依頼した。乙は、気が進まなかったが、喧嘩の加勢くらいはしてやろうと考えてkろえを承諾し、一緒にA方に行った。甲は、Aを呼んでも来ないで裏口に回り、乙は、玄関先で待っていた所、出てきたAが乙を甲と取り違え、いきなり乙に鉄棒で殴りかかってきた。そこで、乙は、Aの攻撃を防ぐため、玄関先にあったコンクリート片をAに向かって投げつけたところ、コンクリート片はAの顔に当たり、顔面擦過傷を負わせ、さらに、Aの背後にいたBの頭にも当り、頭部打撲傷を負わせた。なお、コンクリート片を投げつけたとき、乙はBがいることを認識していなかった。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ。(但し、特別法違反の点は除く。)

第2問
 Aは、宝石(時価100万円)を詐欺によりBから取得したが、その事情を秘して、宝石を100万円で売却することを甲に依頼した。甲は、宝石を受領した当初は、それが騙し取られたものであると知らなかったところ、その後、偶然その事情を知るに至ったが、そのことを秘してCに売却し、代金100万円を受け取った。甲は、その代金のうち30万円を自己の借金の返済のために使ってしまい、Aには、「70万円でしか売れなかった」と言って、納得させ、残りの70万円を渡した。
 甲の罪責を論ぜよ。

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