法律学研究支援室


旧司法試験・憲法

昭和31年

第1問
 法律と予算の関係

第2問
 最低限度の生活を営む権利

昭和32年

第1問
 表現の自由

第2問
 地方自治の本旨

昭和33年

第1問
 議院の国政調査権

第2問
 国民の経済生活に関する憲法上の原則

昭和34年

第1問
 国民の憲法上の義務

第2問
 財政に関する憲法上の原則

昭和35年

第1問
 国民主権の原理を具体化する国民の諸権利

第2問
 天皇の行為に対する内閣の責任

昭和36年

第1問
 法律の委任に基づく命令

第2問
 司法権の自主性に関する憲法上の原則

昭和37年

第1問
 基本的人権の保障に関する憲法の規定は私人間の法律関係にも及ぶか、若干の例を挙げて説明せよ。

第2問
 条約の国内法上の効力を明らかにせよ。

昭和38年

第1問
 財産権の内容と公共の福祉との関係について、具体的な例を挙げて説明せよ。

第2問
 議院の自律性に関する憲法上の原則を明らかにせよ。

昭和39年

第1問
 国の外交に関する国会の権限

第2問
 基本的人権に関する憲法の規定は、外国人にも適用されるか。

昭和40年

第1問
 国民の教育に関する憲法上の制度

第2問
 立法に関する憲法上の原則

昭和41年

第1問
 責任能力

第2問
 甲は、金品を取ろうと思って丙を殺し、その懐中から財布を取った。乙は、物陰からこれを見ていたが、甲が立ち去った後、丙の腕から時計を取った。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和42年

第1問
 次の場合における甲およびAの刑責について論ぜよ。  1  甲は、自分の母親が老衰して足手まといになるので、友人乙に頼んで、山中に捨てさせた。  2  Aは、自分の息子が喧嘩で人を傷つけて逃げてきたので、友人Bに頼んで、その家にかくまってもらった。

第2問
 甲は、某国立大学受験生の父親乙に対して、同大学事務官丙を買収して試験問

題を入手してやるからと言って10万円出させたが、その内5万円を丙に届け、残りを費消してしまった。甲の罪責について論ぜよ。

昭和43年

第1問
 甲は、乙を殺すつもりで、乙に向かってピストルを撃ったところ、弾丸は乙にかすり傷を与えたうえに、傍らにいた丙に当って、同人を死亡させた。この場合における甲の罪責につき、自説を述べ、あわせて反対説を批判せよ。

第2問
 使用窃盗

昭和44年

第1問
 過失の共同正犯は認められるか。自説を述べ、あわせて反対説を批判せよ。

第2問
 税務署員甲は、納税義務者乙に対して、「金10万円を提供しなければ、脱税の事実を摘発する。」と脅かしたところ、乙はこれを恐れて、金10万円を甲に交付した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和45年

第1問
 甲は、乙と口論中、乙が興奮して手を振り上げたのを自分になぐりかかってくるものと誤信し、その難を避けようとして、たまたま所持していた日本刀で乙に切りつけたところ、乙は出血多量のため、即死した。甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に対して債務の担保として自己所有の土地に抵当権を設定したが、まだその登記がされていないのに乗じ、その事実を秘し、丙に対する債務の担保として同人のために同一土地に抵当権を設定し、直ちにその登記を完了した。甲の罪責を論ぜよ。

昭和46年

第1問
 窃取された自己の所有物を数日後、窃盗犯人から取り返した者の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に向かって、自分の父丙方に忍び込んで丙の秘蔵している骨董品を盗み出して来たら高価で買いとってやると唆した。乙は、甲から唆されてその気になり、丙方に侵入して骨董品を盗み出した上、これを甲に売却した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和47年

第1問
 甲は、人を殺して逃走中、知人乙宅に行き、乙に対して、自分は人に傷を負わせて警察から追われているので、しばらくかくまってもらいたいと依頼した。乙は、迷惑に思い、一旦は断ったが、甲が再三懇願するので、やむなく自宅にかくまってやった。甲および乙の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、乙に対して、丙宅に押し入って強盗をするようにそそのかした。乙は、甲から唆されてその気になり、丙宅に押し入り、おもちゃのピストルを丙に突きつけ、金を出せと脅した。生命の危険を感じた丙は、無我夢中でガラス窓を破って外に逃れ、大声で助けを求めた。そのため、乙は、何も取らないで逃走した。なお、丙は、ガラス窓を破ってのがれた際、ガラスの破片で手足など数カ所に全治10日間の傷を負った。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和48年

第1問
 甲は、乙を毒殺しようとして、毒入りの酒を飲ませたところ、致死量に至らなかったので、殺すことができなかったが、乙の苦しみがあまりに激しいので、かわいそうになり、医師に手当をしてもらおうと思い、医師丙のところに連れていった。ところが、丙が処置を誤ったため、乙は死亡した。甲の罪責を論ぜよ。

第2問
 甲は、休日の朝、勤務先の自動車を無断借用して旅行に出かけ、夕方帰る途中、運転を誤って通行人乙をはね、重傷を負わせた。甲は、乙を病院に運ぶつもりで一旦は、車を止めたが、そんなことをすると自動車の無断使用まで判ってしまうと考え直し、乙が死んでくれれば好都合と思い、乙を現場に放置して逃走し、自動車を勤務先のガレ−ジに返しておいた。なお、乙は、甲の逃走後、現場を通りかかった丙に助けられ、病院に運ばれて一命をとりとめた。甲の罪責を論ぜよ(道路交通法違反の点は除く)。

昭和49年

第1問
 名誉毀損罪における事実の真実性に関する錯誤

第2問
 ビルの夜間警備員甲は、巡回中にビル内の事務室から手提金庫を盗み出そうとしている男を発見したが、後ろ姿からみてそれが知合いの乙であることに気が付いたので、そのまま見逃してやった。翌日、甲は、乙に対して、「昨夜のことは俺が見ていた。口止め料をよこさなければ犯行をばらすぞ。」と言っておどし、乙の盗んだ現金のうち20万円を受け取った。甲の罪責を論ぜよ。

昭和50年

第1問
 被害者の承諾は、傷害罪の成否にどのような影響を及ぼすか。

第2問
 甲は、一人住いの老人Aが自宅に多額の現金を蓄えていることを知り、乙にA宅に押し入ってその金を強取することをそそのかした。その気になった乙は、某夜、A宅に押し入り、Aの胸ぐらをつかみ、所携の鉄棒を振り上げ、「金を出せ。出さぬと痛い目をみるぞ。」と脅した。ところが、Aは、乙の手を振り切り、大声で助けを求めながら、逃げようとしたので、乙は、とっさにAを殺して現金を奪おうと考え、鉄棒でAの頭部を乱打してこれを殺害した。乙は、Aの死亡を確かめた後、戸棚の奥に隠してあった現金を見つけ、これを奪って逃走した。甲および乙の罪責を論ぜよ。

昭和51年

第1問
「憲法は、国の責務として積極的な社会、経済政策の実施を予定しているので、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由に関する場合と異なって、社会公共の安全と秩序の維持の見地から加えられる規制のほか、右の社会、経済政策実施の一手段として、一定の合理的規制を加えることも、憲法上許容されると解することができる。」  この見解に含まれる憲法上の論点について説明せよ。

第2問
 国の行政機関の内部部局の設置および所掌事務が法律事項とされていること(国家行政組織法第7条第5項参照)と、国会は「国の唯一の立法機関である」と定める憲法第41条との関係を説明せよ。

昭和52年

第1問
 公務員の基本的人権の制限につき、その事例および憲法解釈上の論点を挙げて、説明せよ。

第2問
 内閣は、以前の内閣の時期に制定された法律を違憲であると判断した場合に、憲法第98条第1項および第99条を根拠として、その法律の執行を中止することができるか。以前の内閣の時期に締結された条約を違憲であると判断した場合にはどうか。それぞれの結論と理由を述べよ。

昭和53年

第1問
 ある県では、自動販売機による有害図書類の販売を規制するため、次の案による条例の制定を検討している。この条例案に含まれる憲法上の緒論点につき説明せよ。  「第○条  自動販売機には、青少年に対し性的感情を著しく刺激しまたは残虐性をはなはだしく助長し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めて知事が指定した文書、図画またはフィルムを収納しまたは陳列してはならない。 2  知事は、前項の規定に違反する業者に対し、必要な指示または勧告をすることができ、これに従わないときは、撤去その他の必要な措置を命ずることができる。この命令に違反した業者は、3万円以下の罰金に処せられる。」

第2問
国会の法律議決権と予算議決権との相違および関係について、説明せよ。

昭和54年

第1問
 憲法を具体化する法令の規定が欠けているときに、憲法の規定を直接の根拠として請求することができるかどうかについて、憲法第25条第1項の権利の場合と、憲法第29条第3項の補償請求権の場合とを比較して説明せよ。

第2問
「最高裁判所が、ある法律を憲法に適合しないと決定した場合には、国会は、その趣旨に従って、直ちに当該法律を改正し、または、廃止しなければならない。」という内容の法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれる憲法上の論点について説明せよ。

昭和55年

第1問
 いわゆる「新しい人権」の1つとして環境権を挙げる見解があるが、この見解における環境権の憲法上の位置づけを述べ、かつ、この権利を裁判において主張する場合に生ずる問題点について説明せよ。

第2問
 司法審査の対象となるかどうかについて、衆議院解散の効力の場合と議員定数不均衡の下での選挙の効力とを対比し、その結論と理由を述べよ。

昭和56年

第1問
 Aバス会社は、バスの運転手としてBを採用するか否かを決定するにあたり、Bの交通違反および交通事故の前歴を調査することとし、犯罪歴に関する記録を保管するC官庁に対し、公的機関のもっている情報は、国民に広く利用させるべきであるとの理由により、Bの右前歴を教示するよう求めた。
 このAの要求について、憲法上の論点を指摘して、説明せよ。

第2問
  国会が、いわゆる在宅投票制度を廃止した結果、身体障害等の事情のある者の投票が不可能または著しく困難となった。そこで、両議院に対して請願がなされたが、この制度を復活するための立法措置が採られなかった。この場合、当該身体障害等の事情のある者の選挙権は、立法の不作為によって侵害されたか。もし、侵害されたとすれば、その救済のためには、憲法上どのような方法があるか。

昭和57年

第1問
 A市が、不動産に関する虚偽ないし誇大な広告による被害から住民の生活を守ることを目的として、A市内で不動産に関する広告をなすにあたって事前にA市長に対して届け出る義務を課し、明らかに虚偽ないし著しく誇大であると認められる場合には、その広告を禁止しまたは是正を求めることができる旨定め、これらの違反に対して罰則を設ける条例を制定したと仮定する。
 この条例による届出義務違反で訴追された不動産業者は、自分が行った広告は憲法上保障されている類のもので、届出義務を課されるべき筋合いのものではなく、また、本条例は住民の「知る権利」を侵害するものであると論じて、本条例の違憲性を主張した。
 裁判所としてはどのような判断をなすべきかについて論ぜよ。

第2問
 老人医療無料法(仮称)は、70歳以上の老人で所得が一定額に達しない者は医療を無料で受けることができるものと定めているが、甲県は、条例により、対象年齢を65歳まで引き下げ、かつ、所得制限を緩和して無料医療を実施してきた。しかるに、この施策も一因となり、県財政が困難となったため、起債を行うこととし、地方自治法第250条による自治大臣の許可を求めたところ、自治大臣は、右の条例が違法であることをも理由として、許可を与えなかった。そこで甲県は、右の条例は違法ではなく、また、右の地方自治法の規定は「地方自治の本旨」に反し、違憲であると主張した。
 右のような問題が生じたと仮定して、甲県および自治大臣のそれぞれの主張について、憲法上の論点を挙げて説明し、論評せよ。
(参考)地方自治法250条
 普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率および償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣または都道府県知事の許可を受けなければならない。

昭和58年

第1問
 出版物に関するいわゆる税関検査について、「表現の自由も絶対無制限なものではない。国は公共の福祉を維持し、社会の健全性を防衛する任務を有している。外国の表現物が我が国に無制限に流入するときは、我が国の健全な風俗を害することがあり得る。したがって、国が一定の要件の下に輸入を禁止するのは当然であり、公共の福祉にかなう」という見解がある。
この見解に含まれる憲法上の問題点を指摘して、論評せよ。

第2問
 日本国憲法上、国会の両議院の議員は「全国民の代表」とされ(第43条第1項)、議院で行った演説、討論または表決について院外で責任を問われないとされるが(第51条)、地方公共団体の議会の議員についてはこの種の規定はみられず、また、直接請求による解職の制度が法律で認められている。このような違いがみられるのはなぜか。

昭和59年

第1問
 A宗教団体が設立したB大学においては、校則により、教授は年5回のA宗教団体の教義に関する授業を行うことが定められている。C教授は右校則に反してその教義に関する授業を一切しなかったため、B大学はC教授を解雇した。
 この場合に、どのような憲法上の問題点が含まれているかについて論ぜよ。
 なお、B大学が私立学校振興助成法により国から補助金を受けている場合はどうか。

第2問
 条例と法律との関係における諸論点について、政令と法律との関係と対比しながら、説明せよ。

昭和60年

第1問
 国会は、国際的競争力の弱いある産業を保護し、その健全な発展を図るため、外国からの輸入を規制し、その生産物の価格の安定を図る措置を講ずる法律を制定した。その生産物を原料として商品を製造しているA会社は、右の法律による規制措置のため外国から自由に安く輸入できず、コスト高による収益の著しい低下に見舞われたため、右立法行為は憲法に違反すると主張し、国を相手に損害賠償を求める訴えを提起した。
 右の訴えに含まれる憲法上の論点について説明せよ。

第2問
 予算と条約に対する国会の修正について、内閣の権限との関係に着目して、予算の場合と条約の場合の異同を明らかにしつつ、説明せよ。

昭和61年

第1問
 基本的人権の保障の限界に関しては、憲法第12条、13条等にいう「公共の福祉」との関係において説が分かれているが、その相違を論拠とともに説明し、それと関連づけながら、海外旅行の自由の制約について、集会の自由の場合と比較して、説明せよ。

第2問
 裁判所の自律性について、議院の自律性と対比して論ぜよ。

昭和62年

第1問
 子女を公立高校に進学させることができず、やむなく私立高校に進学・通学させている親が、負担する公立高校との学費の差額は、国会および内閣が憲法第26条等に定める教育諸条件整備に関する法的義務に違反する立法上の不作為に由来する損害であるとして、国に対して損害賠償を請求した。
 右の訴訟に含まれる憲法上の問題について、憲法第26条の「教育を受ける権利」を中心に論ぜよ。

第2問
 日本国憲法における行政権の行使に対する司法審査の制度について、「法の支配」の観点から説明せよ。

昭和63年

第1問
 受刑者Aは、刑務所当局が法律上の根拠のないままに法務省令によって受刑者の喫煙の自由を認めないことは、憲法の保障する基本的人権を侵害する違憲・違法のものであると主張して、裁判所に国家賠償を請求する訴えを提起したと仮定する。
 右の事例に含まれる憲法上の問題点について、閲読の自由の制限の場合と対比しながら、論ぜよ。

第2問
「国会は、必要があると認められるときは、議決により法律案を国民投票に付することができる。その場合、投票の過半数の賛成があるときは、右法律案は法律として成立する。」という趣旨の法律が制定されたと仮定する。」という趣旨の法律が制定されたと仮定する。
 この法律に含まれている憲法上の問題点について論ぜよ。

平成元年

第1問
 法人の「政治的表現の自由」について、外国人の場合と比較しながら、論ぜよ。

第2問
 条約を違憲とした判決の効力と法律を違憲とした判決の効力について、異同を明らかにしながら、論ぜよ。

平成2年

第1問
ある市において、一般職員の採用に関し、身体障害者については健常者に優先して一定の割合で採用すること、男性については肩までかかる長髪の者は採用しないこと、を内容とする条例を定めたとする。この場合の憲法上の問題点について論ぜよ。私企業が同じ取扱いをした場合についても論ぜよ。

第2問
 法律と予算の不一致がどのような場合に生じるか、その原因を説明し、不一致が生じた場合の国会と内閣の責務について論ぜよ。

平成3年

第1問
「市の繁華街の国政に関する講演会の立看板を提示した行為が、野外広告物およびそれに基づく条例に違反するとして有罪とされても、表現内容にかかわらないこの種の規制は、立法目的が正当で立法目的と規制手段との間に合理的な関連性があれば違憲ではないから、やむを得ない。」との見解について論評せよ。  なお、「小中学校の周辺では扇情的な広告物の提示はできない」との規制の当否についても論ぜよ。

第2問
 検察官が捜査中の刑事事件について、報道機関が、国会議員Aの絡んだ贈収賄事件に発展するかもしれないと報道し始めた段階において、A所属の議院が、真相を解明する必要があるとして、担当検察官およびAを証人尋問することには、憲法上いかなる問題があるか。また、Aが起訴された段階およびその裁判が確定した段階においてはどうか。

平成4年

第1問
 A市は、市営汚水処理場建設について、地元住民の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭を通じて鎮守様として親しまれ、地元住民多数が氏子となっている神社(宗教法人)の境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、工事費用として100万円を支出した。なお、この神社の社殿に隣接する社務所は、平素から地区住民の集会場としても使用されていた。A市の右の措置について、憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。

第2問
「いわゆる部分社会における法律上の係争は、その自主的、自律的解決にゆだねるのが適当であり、裁判所の司法審査の対象にはならない。」という見解について、事例を挙げて論ぜよ。

平成5年

第1問
 都道府県知事の長期在職は、地方自治の固定化ないし沈滞を招き、地方自治の発展を阻害するとして、知事の連続四選禁止の規定を公職選挙法に設けたと仮定する。そのような立候補の資格制限は、憲法第14条、第15条第1項、第22条第1項、第92条に違反するかどうか、論ぜよ。

第2問
 次の各事例における裁判所の措置について、「裁判公開の原則」との関係で生じる憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。
 1  映画の上映がわいせつ図画陳列罪にあたるとして、映画製作者が起訴され、当該映画の芸術性、猥褻性を巡って争われた刑事訴訟において、裁判所が、わいせつ物の疑いのあるものを一般傍聴人の目にさらすのは適当でないという理由で、公判手続の傍聴を禁止した場合。
 2  ある企業が、その保有する営業秘密を不正に取得し使用しようとする者に対し、右不正行為の差止めを求めた民事訴訟において、裁判所が、審理を公開すると営業秘密が公に知られるおそれがあるという理由で、口頭弁論の傍聴を禁止した場合。
 3  上記2の訴訟において、裁判所が、口頭弁論の傍聴は禁止しなかったものの、傍聴人がメモを取ることを禁止した場合。

平成6年

第1問
 用地の取得が著しく困難な大都市において、公園および公営住宅の建設を促進するために、当該都市に所在する私有の遊休土地を市場価格より低い価格で収容することを可能とする法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれる憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。

第2問
 国会議員が院内で人の名誉を侵害する発言をした場合、民事上、刑事上の責任を問われるか。また、所属議院において、右発言を理由に除名の決議がなされた場合、当該議員はその決議の効力を訴訟で争うことができるか。地方議会の議員の場合と対比して、憲法上の観点から論ぜよ。

平成7年

第1問
 放送法は、放送番組の編集に当たって、「政治的に公平であること」、「意見の対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を要求している。新聞と対比しつつ、視聴者および放送事業者のそれぞれの視点から、その憲法上の問題点を論ぜよ。

第2問
 国が、私立学校法にいう私立学校に対して、補助金を支出することは憲法上許されるかどうかについて論ぜよ。
 また、地方公共団体が、学校教育法にいう幼稚園に該当しないがこれに類似した事業を行う幼児教室に対して補助金を支出する場合はどうか。

平成8年

第1問
 団体Aが、講演会を開催するためY市の設置・管理する市民会館の使用の許可を申請したところ、Y市長は、団体Aの活動に反対している他の団体が右講演会の開催を実力で妨害しようとして市民会館の周辺に押しかけ、これによって周辺の交通が混乱し市民生活の平穏が害されるおそれがあるとして、団体Aの申請を不許可とする処分をした。  また、団体Bが、集会のために上記市民会館の使用の許可を申請したところ、市民会館の使用目的がY市の予定している廃棄物処理施設の建設を実力で阻止するための決起集会を開催するものであることが判明したので、Y市長は、団体の申請を不許可とする処分をした。
 上の各事例における憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問
 政党を基礎にした拘束名簿式比例代表制について、「選出された国会議員が、自発的に党籍を離脱した場合または所属政党から除名された場合は、当該議員は議員の地位を失う。この場合、当該議員が所属していた政党の名簿上の順位に従い、繰り上げ当選人を決定する。」という趣旨の規定が法律で定められたと仮定する。この規定に含まれている憲法上の問題点について論ぜよ。

平成9年

第1問
 地方公共団体が、職員の採用について、日本国籍を有することを受験資格の1つとした場合の憲法上の問題点について論ぜよ。
 また、日本国籍を有することを管理職登用試験の資格の1つとした場合についても論ぜよ。

第2問
 住民訴訟(地方自治法242条の2)の規定は、憲法76条第1項および裁判所法第3条第1項とどのような関係にあるかについて論ぜよ。
 また、条例が法律に違反することを理由として、住民は当該条例の無効確認の訴えを裁判所に提起できる旨の規定を法律で定めた場合についても論ぜよ。

平成10年

第1問
 公立A高校で文化祭を開催するにあたり、生徒からの研究発表を募ったところ、キリスト教のある宗派を信仰している生徒Xらが、その宗派の成立と発展に関する研究発表を行いたいと応募した。これに対して、校長Yは、学校行事で特定の宗教に関する宗教活動を支援することは、公立学校における宗教的中立性の原則に違反することになるという理由で、Xらの研究発表を認めなかった。
 右の事例におけるYの措置について、憲法上の問題点を指摘して論ぜよ。

第2問
 国会法第56条第1項は、「議員が議案を発議するには、衆議院においては議員20人以上、参議院においては議員10人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院においては議員50人以上、参議院においては議員20人以上の賛成を要する。」と定めているが、この規定には、憲法上、どのような意味と問題があるかを論ぜよ。
 また、右規定のただし書を改正し、「但し、予算を伴う法律案を発議するには、内閣の同意を必要とする。」とした場合の憲法上の問題点について論ぜよ。

平成11年

第1問
 受刑者Aは、刑務所内の処遇改善を訴えたいと考え、その旨の文書を作成して新聞社に投書しようとした。刑務所長は、Aの投書が新聞に掲載されることは刑務所内の秩序維持の上で不相当であると判断して、監獄法第46条第2項に基づき、文書の発信を不許可とした。
 右の事案に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問
 X市は、住民の静穏な生活環境を良好に保持するために、次のような趣旨の条例を制定した。この条例の憲法上の問題点について論ぜよ。
  1 X市の一定の区域内でパチンコ店を営業しようとする者は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の許可のほかに、あらかじめ市長の同意を得なければならない。
  2 市長の不同意に不服がある者は、裁判所に訴えを提起する前に、X市の設置する、市長及び議会から独立して職権を行使する不服裁定機関の裁定を受けなければならない。

平成12年

第1問
 学校教育法等の規定によれば、私立の幼稚園の設置には都道府県知事の認可を受けなければならないとされている。
 学校法人Aは、X県Y市に幼稚園を設置する計画を立て、X県知事に対してその認可を申請した。X県知事は、幼稚園が新設されると周辺の幼稚園との間で過当競争が生じて経営基盤が不安定になり、そのため、教育水準の低下を招き、また、既存の幼稚園が休廃園に追い込まれて入園希望児及びその保護者の選択の幅を狭めるおそれがあるとして、学校法人Aの計画を認可しない旨の処分をした。
 この事例における憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問
 最高裁判所の規則制定権と国会の法律制定権の競合関係について、議院の規則制定権と国会の法律制定権の競合関係と対比しつつ、論ぜよ。

平成13年

第1問
 法律上強制加入とされている団体が、多数決により、特定の政治団体に政治献金をする旨の決定をした。この場合に生ずる憲法上の問題点について、株式会社および労働組合の場合と比較しつつ、論ぜよ。

第2問
 下級裁判所の裁判権の行使に関し、「下級裁判所は、訴訟において、当該事件に適用される法令が憲法に違反すると認めるときは、その事件を最高裁判所に移送して、当該法令の憲法適合性について最高裁判所の判断を求めなければならない。」という趣旨の法律が制定された場合に生ずる憲法上の問題点について論ぜよ。

平成14年

第1問
 A市民であるBは、A私立図書館で雑誌を借り出そうとした。ところが、図書館長Cは、「閲覧用の雑誌、新聞等の定期刊行物について、少年法61条に違反すると判断したとき、図書館長は、閲覧禁止にすることができる。」と定めるA市の図書館運営規則に基づき、同雑誌の閲覧を認めなかった。これに対し、Bは、この措置が憲法に違反するとして提訴した。
 この事例に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問
 以下の各訴えについて、裁判所は司法権を行使することができるか。
1、 国会で今制定されようとしているA法律は明らかに違憲であるとして、
  成立前に無効の宣言をするよう求める訴え。
2、 B宗教の教義は明らかに憲法13条の個人の尊重に反しているとして、
  その違憲確認を求めてC宗教の信徒らが提起した訴え。
3、 自衛隊は憲法第9条に違反する無効な存在であるとして、国に対して、
  自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を請求する訴え。

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