法律学研究支援室


旧司法試験・民法

昭和32年

第1問
代理権の制限を各場合を挙げて説明せよ。

第2問
婚約と内縁とを比較して論ぜよ。

昭和33年

第1問
甲所有の家屋を乙が賃借中、乙は甲の承諾を得て借家の2階全部を丙に転貸していた。ところが、丙の失火によってその借家が全焼した。この場合における甲乙丙三者間の法律関係について論ぜよ。

第2問
離婚法における破綻主義を論ぜよ。

昭和34年

第1問
遺留分制度を論ぜよ。

第2問
カメラを買ったところ、予期に反し、ちょっと気のつかないところに故障があった。買主は、どのような法律的手段を採ることができるか。

昭和35年

第1問
民法第1条の2の意義を論じ、適用例二、三について論ぜよ。

第2問
甲は、乙をだまして乙の所有地を買い取り、登記後、乙は、詐欺を理由として右売買を取り消した。しかるに、甲は、自己の登記名義を利用して、その土地を丙に売却し移転登記をした。甲乙丙の法律関係は、どうなるか。

昭和36年

第1問
動産を担保として金融を得る各種の方法を挙げ、その得失を論ぜよ。

第2問
共同相続人甲乙は、乙につき廃除の遺言があったことを知らないで遺産を分割し、乙は分割によって得た財産を丙に譲渡した。その後、乙に対し廃除の審判が確定した場合、甲は、乙および丙に対していかなる権利を有するか。

昭和37年

第1問
債権の第三者に対する効力を論ぜよ。

第2問
夫甲の長期不在中、妻乙が甲に無断で甲の動産を第三者丙に売却し、代金を自己の生活費にあてた場合、甲・乙・丙の間の法律関係は、どうか。

昭和38年

第1問
権利の放棄。

第2問
甲が、その所有する土地を乙に賃貸し、乙は借地の上に登記のある建物を所有していたところ、甲は自己の債権者のためにその土地に抵当権を設定してその登記をし、その後乙は、甲から右土地を買い受けてその登記をした。甲の債権者の抵当権実行により丙が右土地を競落してその登記を経たときは、甲乙丙相互の間の法律関係はどうなるか。

昭和39年

第1問
甲は、乙に強迫されて自己の所有する土地を処分するための委任状と登記に必要な書類を乙に渡した。乙は、それを使用して丙にその土地を売却し、甲から丙への移転登記がなされた。甲の乙丙に対する権利関係はどうなるか。

第2問
甲の子である小学生の乙は、道路で遊んでいるうちに丙会社の運転手丁が私用で運転していた自動車にはねられて負傷した。甲および乙は、丙丁に対してどのような権利を有するか。

昭和40年

第1問
AB夫妻の一人子Cは、自分がAだと称してA名義の不動産をDに売却し、Aの実印や必要書類を勝手に持ち出して登記を了した。Dは、これをEに売り、登記を済ませた。Aは、この事実を知ってEに対し取戻しを要求していたが、急死した。そこで、Cは、Aの遺志にしたがって、右不動産の取戻しを望んでいる。この場合における関係者間の法律関係はどうなるか。

第2問
自動車事故で負傷した被害者Xは、加害者Yから10万円の損害賠償を受け、「それ以外の一切の請求権を放棄する」という文言の入った、Yの用意した示談書に押印した。その後、治療の経過が思わしくなかったり、はじめに予想しなかったような後発症が生じたりしたため、Xがさらに20万円の治療費を余分に支出した場合に、XはYに対してその賠償を請求することができるか。

昭和41年

第1問
Aに対するBの金銭債務につき、Cが保証人となるために書類を作成し、そのAへの伝達をBに依頼した。ところが、Bはその書類に債権者の指名が記入されていないのを幸いに、別人であるDの名を記入し、これをDに渡して同人から金銭を借用した。
この場合の関係者間の法律関係はどうなるか。

第2問
家主Aは、Bに賃貸していた家屋をCに売却していたが、未だ移転登記はなされていない。
この場合に、次の請求について、A・B・Cは、それぞれどういう関係に立つか。AからBに対して、家屋をCに譲渡した旨を通知した時はどうか。
1 Bに対する家賃の請求。
2 AC間の売買以前における家賃滞納を理由としての、Bに対する家屋明渡の請求。

昭和42年

第1問
AがBに抵当を入れていた建物を、Cは、特に期間を定めないで賃借し、内縁の妻Dと済んでいた。まもなくCは死亡し、Dが一人で住んでいた。その後、抵当権が実行されて、Eがその建物を競落した。Eは、Dに対して明渡しを請求することができるか。

第2問
Aは、Dから60万円の借金をするにあたって、妻Bに無断でB所有の宝石を持ちだし、これをDに質入した。その後、Aが死亡し、Bと、ABの子Cとが相続した。この場合、BCD三者間の法律関係はどうなるか。
なお、宝石の質入に際してAがBの代理人と称した場合は、どうか。

昭和43年

第1問
AはBから借金するに際して、C所有の不動産に抵当権を設定してもらっていた。ところが、弁済期から10年経過してしまった。この場合において、
1Cは抵当権の実行に際して、異議を申し立てることができるか。
2Aが借金の全額を支払ったときは、CはAに対して求償することができるか。
3Aが借金の半額を支払ったときは、Cの立場はどうなるか。

第2問
甲の妻乙は、家具商丙から家具を買い、代金の一部を支払って引渡を受けたが、残代金を支払わないうちに甲と離婚した。この家具の売買をめぐって、その後の甲乙丙間の法律関係はどうなるか。

昭和44年

第1問
金銭の貸付けに際して、抵当権設定登記をすると同時に、同一不動産につき代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をし、さらに、賃借権の登記をすることがあるが、これにはどういう法律上の意味があるか。

第2問
Aは、市街地に甲宅地を所有していたが、郊外にあるB所有の乙宅地に目をつけ、交渉の結果、甲宅地と乙宅地とを交換した。Bは間もなく甲宅地をCに転売した。そして、それぞれ登記を終えた。その後、Aは、乙宅地に計画していた住宅を建てるために建築業者に相談したところ、乙宅地は、法律上の制限があって住宅の建築はできないことが明らかになった。この場合に、AはCから甲宅地を取り戻すことができるか。

昭和45年

第1問
甲が乙所有の建物を自己のものと誤信して丙に賃貸し、丙もそれを甲所有の建物と誤信したまま数カ月家賃を支払い、居住していた。丙は、乙から立ち退きを請求され、新たに乙との間に賃貸借契約を締結した。甲乙丙相互の法律関係を説明せよ。

第2問
甲工場は、毒性を薄めた廃液を河川に流していたが、周囲に被害を与えていなかった。その後、付近に乙工場が新たにできて、同程度の毒性を持つ廃液を流し始め、両工場の廃液が合して、その付近の水質に強度の毒性を生じていた。この付近で遊んでいた5歳の女子Aが、防護柵をくぐって遊んでいる内に河川に転落し、重い皮膚病にかかり、容貌に重大な傷害を生じた。Aは母親Bの洗濯していたすきに遊びに出たものである。この場合、
一  甲乙工場には、どのような責任があるか。
二  Aの父C(Bの内縁の夫)は、慰藉料の請求ができるか。

昭和46年

第1問
甲の病気による入院療養が長期におよんだため、甲の妻乙は、甲の医療費調達の目的で、甲から預っていた実印を無断で使用して、乙を代理人とする旨の甲名義の委任状を作り、甲を代理して甲所有の土地を丙に売却し、丙は更にこれを丁に売却した。乙に右土地売却の権限がなかったことについて、丙は善意・無過失であったが、丁は悪意であった。退院後、これを知った甲は、丁に対して土地の返還や登記の抹消を請求することができるか。

第2問
甲は、商品Aを乙に600万円で売却する契約を結び、約定にしたがい、昭和46年5月1日に弁済の提供をしたが、乙は代金を支払わず、受領を拒んだ。しかも、乙は、5月10日に、Aを丙へ700万円で転売する契約を結び、その引渡期日を5月末と約した。乙はこの履行期を徒過したが、6月10日夜、甲の隣家丁の失火によりAは類焼してしまった。Aの価格は、5月末日には800万円に騰貴し、ついで6月10日には750万円に下落し、更にそれ以後は600万円に落ち着いている。
甲乙丙丁四者間には、どのような法律関係を生ずるか。

昭和47年

第1問
ビルの修理を請け負ったA建設会社の作業現場において、A会社の従業員Bが突然貧血を起こして倒れ、その取り落した工具が足場のパイプにあたってはずんで落下し、近くの公道を通行中のCにあたって、全治2カ月の大怪我をさせた。Cは、D商事会社の営業部長であって重要な商談におもむくところであったが、Cの受傷と入院のため、D会社は、有利な取引の機会を逸し、数百万円の受くべかりし利益を失った。
CおよびDは、AおよびBに対して損害賠償を請求する。CDの立場で考えられる主張と、ABの立場で考えられるこれに対する反論とを挙げて論ぜよ。

第2問
甲は、乙の不在を奇貨として、乙所有地に樹木の苗(5000円相当)を植え、6カ月後には根付いた。その後、甲は13年間右の樹木を手入れし、その結果、時価50万円相当となった。その頃、乙が帰来したが、右の樹木をめぐり甲乙互いに自分の所有権を主張して譲らない。甲乙の主張の根拠として考えられるものを挙げ、それぞれにつき論ぜよ。また、甲の主張が認められる場合および乙の主張が認められる場合の各々において、甲乙間の法律関係はどのようになるか。

昭和48年

第1問
Aは、代理人Cを通してBから土地を購入したが、Aは自己名義にするのを嫌って、C名義に移転登記をし、そのまま数年を経た。その後、CはDから借金しその土地に抵当権を設定した。右借入金債務不履行のため、その土地は競売されEが競落した。Eは、所有権を取得できるか。

第2問
甲は、妻乙の所有する未登記の建物を、丙女との妾関係を維持するために、自己の所有だと称して、乙に無断で、丙に贈与し、そこに丙を住まわせた。その後間もなく、乙は精神病になって禁治産宣告を受けたが、後見人に就任した甲は、丙への贈与を追認した。数年後に乙の禁治産宣告は取り消された。乙が丙から右建物を取り戻すことができるかどうかを検討せよ。

昭和49年

第1問
甲は、乙に対して、その所有するA地を、石材置場に使用する目的で10年間賃貸したが、賃借権設定登記はなかった。乙は、その土地の2分の1を石材置場に使用していたが、間もなく残り2分の1を建物所有のために丙に転貸した。丙は、乙が甲から転貸の承諾を得ていないことを知りながら、その土地で建物の建築に着手した。このような状況の下で、甲からA地の所有権を譲り受け、移転登記を経由した丙は、乙に対し、その使用部分の明渡を請求した。丙の請求は認めるべきであるか。この請求が、所有権を根拠とする場合と無断転貸による解除を根拠とする場合とに分け、丙の立場で考えられる主張と、乙の立場で考えられるこれに対する反論とを挙げて、論ぜよ。

第2問
A・B夫婦には、戸籍上、子C・Dがいるが、Cは、E女の子であり、生後間もなく、EとA・Bとの合意により、A・Bの嫡出子として出生届がなされたものである。Cは成人して長年家業に従事し、その結果、A名義の財産が増加した。BについでAが死亡した後、Dは、A所有名義の不動産についてDの単独名義に相続登記をしたうえ、これをFに売却し、移転登記を終えた。他にめぼしい遺産はない。この場合に考えうるC・D・F間の法律関係を論ぜよ。

昭和50年

第1問
A社製の印刷機械をB店から買ったCは、資金繰りのため、その機械を譲渡担保に供してDから借金し、機械はそのまま使用していた。
1 Cは、その機械に欠陥があったため、大けがをした。Cは、A・Bに対してどのような請求ができるか。考えられる法律構成を挙げて論ぜよ。
2 Cの債権者Eがその機械を差し押えた場合、Dはいかなる主張をすることができるか。

第2問
自動車販売会社Aは、Bに甲自動車一台を代金100万円とし、B所有の乙自動車1台を30万円で下取りするとの約束で売った。Aは、乙自動車を引き取って、販売のため10万円を費やして整備をしたが、B名義の登録を自己名義に移さなかった。CはBに対する乙自動車の売主であるが、Bが売買残代金を支払わなかったことを理由に、Aが乙自動車の引渡を受けた後に契約を解除して、Aに対し、右自動車の引渡を求めた。
A・C間の訴訟で考えられるA・Cの主張について論ぜよ。また、もし、Aが乙自動車をCに返還しなければならないとした場合のA・B間の法律上の問題点について論ぜよ。

昭和51年

第1問
甲は、その所有する建物をAに賃貸して引き渡したが、その際、Aが賃借権を自由に譲渡できる旨の特約をした。甲は、後にその建物を乙に売却して、その旨をAに通知したが、所有権移転登記をしないでいた。乙は、Aに対して家賃を自分に払うように求めたが、Aはこれを拒んで、家賃を甲の下に持参した。しかし、甲も受領を拒んだので、Aは、3カ月後に賃借権をBに譲渡し、建物を引き渡した。そこで、乙は、直ちにAに対して賃貸借契約の解除の意思表示をし、Bに対して建物の明渡しを求めている。乙・B間で生ずる法律問題を挙げて論ぜよ。

第2問
飲食店を経営するAは、友人の子である11歳の少年Bに、夏休み中、店の仕事を手伝わせていた。Bがプロパンガスの操作を誤ったため、火事となり、その店は全焼し、店に食事に来ていた客Cが負傷した。その店舗は、AがDから借りていたものである。AのCおよびDに対する責任の有無および考えられる種々の根拠について説明せよ。

昭和52年

第1問
家具商を営む甲は、乙とタンス1さおを乙に売る契約を締結し、履行期に乙方に届けたところ、乙から受け取ることを拒まれた。そこで、甲は、運送業者丙に運送費を支払ってその運送を依頼し、これを持ち帰って甲の店舗に保管していたところ、地震により、右店舗が倒壊したため、右タンスが毀滅した。乙が受領を拒んだ理由が、
(1)置き場所が片付いていないことにある場合
(2)右タンスに瑕疵があることにある場合
とに分けて、甲・乙間の法律関係を説明せよ。

第2問
本人を甲、代理人を乙、相手方を丙として、乙・丙間に代理行為がなされた場合において、
(1)丙が乙に詐欺を行った時
(2)乙が丙に詐欺を行った時
(3)甲が丙に詐欺を行った時
(4)丙が甲に詐欺を行った時
の、それぞれについて、代理行為の効力を論ぜよ。

昭和53年

第1問
Aは、その所有の事務所用建物について、債権者甲のために抵当権を設定し、その登記をした後、抵当権の設定当時からその建物に備え付けられていた冷房用の機械を新式のものと取り替え、新しい機械を他の債権者乙のために譲渡担保に供した。乙が、Aが弁済期に債務を履行しないので、Aの承認の下にその機械を取り外して持ちだし、丙に売却した。この場合における甲・乙間および甲・丙間の法律行為を説明せよ。

第2問
「他人所有の不動産の売主がその義務を履行しないまま死亡した場合において、その不動産の所有者が相続により売主の地位を承継したとしても、その者は、特別の事情の無い限り、売主としての履行義務を拒否することができる。」という考え方がある。
この考え方に立って、
(1)これを支持する理由
(2)売主の相続人が履行義務を拒否した場合に買主が採り得る法律上の手段
について論ぜよ。

昭和54年

第1問
甲は、その所有する土地を乙に賃貸し、乙は未だこれを占有するに至らなかったところ、甲の妻丙は、自己に賃貸の権限があると誤信し、甲の代理人として、この土地を丁に賃貸し、丁はこの土地上に建物を建築した。乙は、丁に対して建物収去・土地明渡しを求めることができるか。

第2問
Aは、Bに対して借家人Cの住んでいるA所有の建物を売り渡した。その後間もなく、Cは、その重過失により、これを焼失させてしまった。BはAに対して手附を交付している。A・B・C三者間の法律関係を論ぜよ。(ただし、賃料に関する法律関係は除く。)。

昭和55年

第1問
Aは、Bに対して貸金債権を有していたが、Bが倒産して所在不明となったので、その所在を探しているうちに、消滅時効期間が経過した。その後、Aが保証人Cに対して保証債務の履行を求めたところ、Cが弁済した。Cは、Bの所在が判明した後、Bに対してAに弁済した金員を支払うよう求めたところ、Bは、消滅時効期間が経過したので、Cが弁済する必要はなかったと主張して、支払を拒絶した。
この場合におけるB・C間の法律関係について説明せよ。

第2問
甲は、乙から一定規格の製品を一定数量購入し、約定の期日に乙の倉庫に出向いて受領する旨の契約を結んだ。乙は、その規格の製品を多量に仕入れ、引渡しの準備をした上、約定の期日に、甲に引き取るよう通知した。甲は、資金の手当てができなかったので、3か月遅れて乙の倉庫に出向き、自ら点検の上、乙から約定の数量の製品の引渡を受けた。その後、甲は、引渡を受けた製品の一部に腐蝕のあることを発見したが、それは、乙の倉庫に在庫中、約定の期日後に湿気のために生じたものであった。
この場合における甲・乙間の法律関係について説明せよ。

昭和56年

第1問
甲は、乙所有の家屋を自己のものと称して丙に賃貸し、引き渡した。丙は、甲の許可を得た上、相当の費用をかけてこの家屋を改造し、これに居住していたところ、乙は、この家屋を取り壊してその跡に貸ビルを建築する計画の下に、丙に対してその明渡を求めた。 この場合における次の問題点について説明せよ。
(1)丙が乙に対してすることができる主張
(2)丙が甲に対して有する請求権

第2問
Aは、BがCとの間の継続的取引契約に基づいてCに対して現在および将来に負担する債務を期限および極度額の定めなく保証した。
この場合における次の各問題点について説明せよ。
(1)Aの解約権。
(2)CがB所有の不動産の上に有する根抵当権を放棄した場合におけるAの保証責任。
(3)Aが死亡した場合におけるその相続人の責任。

昭和57年

第1問
Aは、甲からある土地を賃借し、その引渡を受けてその土地上に建物を建築するための工事に着手した。ところが、Bは、Aよりも先に甲からその土地を賃借し、また、Cも、乙からその土地を賃借しており、それぞれ自分が賃借人であると主張して、Aの建築工事を妨害しようとしている。ただし、A、BおよびCは、いずれも賃借権設定の登記を受けていない。
この場合において、A、BおよびCは、それぞれ他の二者に対して、その土地を使用するため自己の権利を主張することができるか否かにつき、その土地の所有者が甲である場合と乙である場合とに分けて論ぜよ。

第2問
Aは、その所有する建物にBのために抵当権を設定してその登記をした後、その建物を債権者Cのために譲渡担保に供し、Cは、譲渡担保を登記原因とする所有権移転の登記を受けた。その後、Aは、BおよびCの承諾を受けないでその建物をDに賃貸し、Dはこれに居住している。
この場合における次の各問題点について説明せよ。
(1)BおよびCのDに対する建物の明渡請求。
(2)Dの失火によりその建物が焼失した時に、BおよびCが採り得る法的手段。

昭和58年

第1問
甲所有の土地につき、乙は、甲に無断で、丙との間に乙を売主とする売買契約を締結した。その土地の登記簿上の所有名義は、当初は甲にあったが、その後、甲から丙に直接移っている。
右の場合において、丙の登記が有効な対抗要件となるに至るいくつかの法律関係を指摘して論ぜよ。

第2問
A会社の工場が爆発し、付近を通行中のBが重傷を負い、通行人Cがタクシ−でBを医師Dのもとに運んだ。Bは、治療のかいもなく、間もなく死亡し、後に長期間別居中の妻E、内縁の妻FおよびB・F間の子でBにより認知された幼児Gが残された。
右の事実関係の下において、次の問いに答えよ。
1 Cがタクシ−料金および汚れた衣服のクリ−ニング料金を支出した場合におけるその費用ならびにDの治療代に関し、CおよびDは、誰に対してどのような請求をすることができるか。
2 E、FおよびGは、A会社に対してどのような請求をすることができるか。

昭和59年

第1問
権利能力のない社団Aがその財産である不動産をAの代表者の1人であるBの所有名義で登記していたところ、Bは、私利を図る意図のもとにその不動産を第三者Cに売り渡し、移転登記をした。
この場合におけるA・C間の法律関係について、BがAの代表者として売り渡した場合と自己の名で売り渡した場合とに分けて論ぜよ。なお、Aの代表者について共同代表の定めはないものとする。

第2問
部品製造業者甲は、製品製造業者乙に部品を供給し、乙は、その部品を用いた製品を販売業者丙に売り渡していた。ところが、甲は乙の指示する品質条件にしたがって部品を製造したにもかかわらず、その部品に瑕疵があり、このため乙に製品に瑕疵が生じた。丙は、その製品を販売したが、その瑕疵を理由に大量の返品を受けて倒産してしまった。乙・丙間の売買契約には、乙は瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった。
この場合における甲・乙・丙三者間の法律関係について論ぜよ。

昭和60年

第1問
甲は、その所有する土地を乙に売り渡し、その旨の登記をした。乙は、この土地を丙に転売して引き渡した。ところが、丁は、乙および丙に対し、この土地について、丁が甲から売買により所有権を取得していたことを主張している。
(1)丁の乙、丙に対する主張が認められる場合について論ぜよ。
(2)丁の乙および丙に対する主張がいずれも認められた場合、乙は甲に対してどのような請求をすることができるか。なお、この土地の価格は、甲乙間の売買契約以来現在まで上昇を続けているものとする。

第2問
Aは、Bに対して貸金債権を有し、Bは、Aに対して売掛代金債権を有していたが、Bは、この売掛代金債権をCとDとに二重に譲渡し、いずれの譲渡についても確定日付のある証書によってAに通知し、その通知は同時にAに到達した。その後、Cは、Aに対し、この売掛代金債権を自働債権とし、AがCに対して有していた貸金債権を受働債権として相殺する旨の意思表示をしたところ、Aは、Cに対し、AのBに対する前記貸金債権を自働債権とし、この売掛代金債権を受働債権として相殺する旨の意思表示をした。 この場合におけるA・C間の法律関係について論ぜよ。

昭和61年

第1問
甲は、乙との間で、乙がその倉庫に保管中のB型ワ−プロ500台のうち200台を契約の日から1週間後を引渡期日と定めて購入する契約を締結した。甲の債権は、制限種類債権であるとして、次の各場合につき、甲乙間の法律関係を論ぜよ。
(1)契約の日の翌日、B型ワ−プロ全部が倉庫から消失してしまった場合
(2)乙が甲に引き渡すために、あらかじめ甲が指示したB型ワ−プロ200台を倉庫から搬出し、トラックに積載しておいたところ、トラックごとそれが消失してしまった場合

第2問
甲会社の従業員Aは、甲の工場で就労中、同僚Bが操作する機械に巻き込まれて死亡した。Aの妻乙は、甲労災補償を受けたので、甲に対してそれ以上の請求をすることができないと思っていたところ、事故後4年を経て、知人から、甲に対して損害賠償の請求をすることができるのではないかと教えられたため、その請求をしたいと考えている。
(1)乙は、甲に対し、契約上の責任を追及することができるか。
(2)乙は、甲に対し、不法行為上の責任を追及することができるか。

昭和62年

第1問
甲は、乙に対し、甲の所有する土地Aの登記済証、実印等を預けて長期間放置していたところ、乙は、土地Aにつき、勝手に自己名義に所有権移転登記をした後、丙に対する自己の債務を担保するため抵当権を設定し、その旨の登記を了した。その後、乙は、土地Aを丁に売却したが、登記は、いまだ丁に移転されていない。
右の事例において、丁が丙に対して抵当権設定登記に抹消請求をすることができる場合およびこれをすることができない場合について、理由を付して論ぜよ。

第2問
Aは、その子B(幼児)を助手席に乗せ、制限速度を大幅に超えた速度で乗用車を運転中、自動二輪者に乗ったCがわき道から急に飛び出してきたため、自分の車をこれに衝突させた上、歩道わきの石垣にも衝突させた。この事故で、B、Cおよび歩道上を通行中のDの3名が重傷を負った。
次の場合に分けて、それぞれ法律上の問題点を論ぜよ。
(1)BがCに対して損害賠償を請求した場合
(2)DがAおよびCに対して損害賠償を請求した場合

昭和63年

第1問
Aは、B所有の甲土地上に乙建物を所有していた。Cは、Aに金員を貸し付けて乙建物に抵当権の設定を受け、その旨の登記を了した。その後、Cの抵当権が実行され、Dが乙建物を買い受けた。
1 Bは、Dに対して甲土地の明渡を請求することができるか。甲土地の賃貸借契約が抵当権設定よりも前にAB間で締結された場合と抵当権設定後その実行前に締結された場合に分けて論ぜよ。
2 Bが、抵当権が実行される前にAとの間で右賃貸借契約を合意解除したことを理由として、Dに対して明渡しを請求した場合はどうか。

第2問
AB間でA所有の不動産をBに3000万円で売却する旨の契約が成立し、内金2000万円の支払後、残代金は1年後に支払う約束の下に、所有権移転登記および引渡しが完了した。その後、Bは、事業に失敗し、その債権者Cに迫られて、唯一の資産である右不動産を代物弁済としてCに譲渡することを約束した。このため、Aは、Bから履行期に残代金の支払をうけることができなかった。
1右の場合において、Cが所有権移転登記および引渡しを受けていた時は、Aは、B及びCに対しどのような請求をすることができるか。
2AがBの債務不履行を理由として右売買契約を解除したが、登記を回復しないでいる間に、BからCへの右代物弁済の約束がされた場合はどうか。Cが所有権移転登記および引渡しを受けている場合といずれも受けていない場合に分けて論ぜよ。

平成元年

第1問
Aは、Bに対し、自己の所有する中古のステレオセットを贈与することを約し、Bへの送付をCに委託した。ところが、Cによる輸送の途中、Dがこのステレオセットを盗み、Eに売り渡した。
1この場合に、A、BおよびCは、Eに対し、ステレオセットの引渡しを請求することができるか。
2A、B、Cいずれもステレオセットを取り戻すことができなかった場合に、BがAに対してすることができる請求及びAがその請求を拒むことができる根拠について説明せよ。

第2問
Aは、Bに対し、売主をC、買主をBとする売買契約に基づくCの目的物引渡債務を保証することを約し、Bは売買代金を前払いした。ところが、履行期が到来したにもかかわらず、Cは目的物を引き渡さない。
1(1)Bは、Aに対し、どのような請求をすることができるか。
 (2)Aが死亡し、D及びBが相続をした場合には、Bは、D及びEに対し、どのような請求をすることができるか。
2 BがCの債務不履行を理由として売買契約を解除した場合には、Bは、Aに対し、どのような請求をすることができるか。

平成2年

第1問
Aは、夫であるBの事業が不振で家計にも窮するようになったため、Bに無断で、Bから預っていたBの実印等を利用し、Bの代理人としてB所有の土地をCに売り渡した。
1 (1)Cは、Bに対し、その土地の所有権移転登記手続をするよう請求することができるか。
(2)Cは、Aに対し、どのような請求をすることができるか。Cの請求に対するAの反論についても含めて説明せよ。
2 Cが請求をしないでいる間にBが死亡した。A・B間には子Dがいたが、Dは相続を放棄した。この場合に、Cは、Aに対し、どのような請求をすることができるか。Dが相続を放棄しなかった場合には、どうか。

第2問
Aは、B所有の茶器を所持していたところ、Cから100万円を借り受けるに当り、この茶器をCに質入れした。
1 この茶器は、AがBから預っていたに過ぎないのに、Bの承諾なしに、自己のものとしてCに質入れをしたものであった場合に、Cは、質権の実行により100万円の貸金債権の弁済を受けることができるか。次の3つの場合のそれぞれについて検討せよ。
(1)現在、Cが茶器を所持している場合
(2)質権の設定後にAの懇願を受けてCがこの茶器をAに引き渡し、現在は、Aがこれを所持している場合
(3)Cから茶器の引渡しを受けたAがこれを更にBに返還し、現在は、Bがこれを所持している場合
2 この茶器は、AがBに貸し付けた50万円の貸金債権の担保のためにBからAに質入れされたもので、これを、AがBの承諾なしに更にCに質入れしたものであった場合に、Cは、自己の債権の実行により、100万円の貸金債権の弁済を受けることができるか。

平成3年

第1問
Aは、甲土地の所有者Bを強迫して土地売却に関する委任契約を締結させ、Bの代理人として甲土地をCに売り渡した。Cは、駐車場として利用させるためDに甲土地を引き渡し、賃料に代えてDに甲土地を舗装工事をさせたが、その後に、Bが強迫を理由として右委任契約を取り消した。この場合におけるBとC・Dとの法律関係について説明せよ。

第2問
A、B及びCは、共同してD所有のリゾ−トマンションの一室を代金1500万円で買い受けた。A・B・Cの間では、売買代金を各自500万円ずつ負担するとの約束があった。
(1)約定の日に、B及びCは、それぞれ代金として500万円を持参し、Dはこれを受領したが、Aは、代金を持参せず、その後も支払おうとしない。この場合、Dの採り得る法律上の手段について述べよ。
(2)A、B及びCは、マンションを買い受けた後、これを交代で利用していたが、A及びBは、Cに無断で、マンションを賃貸し、Eがこれを使用している。この場合、Cの採り得る法律上の手段について述べよ。

平成4年

第1問
Aは、Bに対して負う貸金債務を担保するため、自己所有の建物をBに譲渡して所有権移転登記をしたが、引続き建物を占有していた。ところが、Aが期限に債務を弁済しなかったので、BはAに対し、建物の評価額から被担保債権額を控除した残額を提供し、建物の明け渡しを求めたが、Aはこれに応じなかった。その後、AはBに対し、債務の弁済の提供をした上、建物をCに賃貸した。Cは、Aを建物所有者と信じて、長期間に渡りAに賃料を支払ってきたが、この間に、建物はBからDに譲渡され、その旨の登記がなされた。
この場合における建物をめぐるAD間、CD間の法律関係について述べよ。

第2問
債権者取消権における「相対的取消(取消の相対効)」とはどういうことか、どうしてそのような考え方が出てきたのか、そのような考え方にはどのような問題があるかについて論ぜよ。

平成5年

第1問
Aは、Bに対して、売却納品した物品の代金を支払うよう求めたところ、Bは、この取引はBの従業員Cが勝手にしたものであると主張して、支払わない。 Aは、Bに対し、表見代理(民法第110条)による代金請求と使用者責任(同法第715条)による損害賠償請求とを考えている。Aが考えている2つの制度の関係について論ぜよ。

第2問
A社は、B社に対し、実験用マウス30匹を売り渡した。ところが、この中に、人およびマウスに有害なウィルスに感染したものが混じっていた。その後、Bの従業員Cがこのウィルスに感染して発病し、長期の入院治療を余儀なくされた。Bはこのウィルスに感染した他のマウス200匹を殺すとともに、Bの実験動物飼育施設に以後の感染を防止するための処置を施した。
右の事例において、(1)Aに過失がなかったときと、(2)Aに過失があったときとに分けて、AB間およびAC間の法律関係について論ぜよ。

平成6年

第1問
債権は相対的な権利であるといわれている。そのことと、債権が第三者により不法に侵害された場合に、債権者が、その第三者に対して、不法行為責任を追及し、あるいは侵害行為の差止めを請求することができる場合もあるとされていることとの関係について論ぜよ。

第2問
Aは、債権者からの差押えを免れるため、Bと通謀の上、売買仮装して、その所有する建物およびその敷地(以下、これらを総称するときは「本件不動産」という。)の登記名義をBに移転するとともに、本件不動産を引き渡した。その後、Aは、右の事情を知っているCとの間で、本件不動産につき売買契約を締結し、代金の支払いを受けたが、その直前に、Bが、Dに本件不動産を売却し、引き渡していた。Dは、AB間の右事情を知らず、かつ、知らないことに過失がなかった。ところが、右建物は、Cの買受け後に、第三者の放火により焼失してしまった。なお、その敷地についての登記名義は、いまだBにある。
以上の事案において、本件不動産をめぐるCD間の法律関係について論じた上、CがAおよびBに対してどのような請求ができるか説明せよ。

平成7年

第1問
飲食店経営者のAは、不要になった業務用冷蔵庫を、知人のBに頼んで破棄してもらうことにした。Aが、店の裏の空き地にその冷蔵庫を出しておいたところ、近所の住人Cも、不要になった冷蔵庫を破棄したいと思い、勝手にAの冷蔵庫のそばに自分の冷蔵庫を捨てた。Bは、トラックで空き地に乗り付け、そこに置いてあった2つの冷蔵庫を回収して、Dの所有する山林に不法に投棄した。これを発見したDは、付近が近所の子供達の遊び場になっているため、2つの冷蔵庫に各5万円の費用を費やして危険防止に必要な措置を講ずるとともに、A、Cをつきとめた。なお、Bの所在は、不明である。
この場合に、DがA、Cに対してどのような請求ができるかについて、A、Cからの反論を考慮して論ぜよ。

第2問
A社団法人の事務・事業をその理事Bが行うにつき、Bの過失によりCが損害を被った場合において、責任の性質を踏まえながら、AのCに対する不法行為責任、BのCに対する不法行為責任、AがCに損害を賠償した場合におけるAのBに対する求償の可否・範囲について、Bが被用者である場合を対比して論ぜよ。

平成8年

第1問
Aは、Bに対する債務を担保するため、自己所有の甲建物に抵当権を設定し、その旨の登記を経由した。その後、Aは、Cに甲建物を売却したが、Cへの所有権移転登記を経由する前に、Dの放火により甲建物が全焼した。
この場合に、A、BおよびCは、それぞれDに対して損害賠償を請求することができるか。
AがDに対して損害賠償を請求することができるとした場合、AのDに対する損害賠償請求権またはDがAに支払った損害賠償をめぐるBおよびCの法律関係はどうなるか。

第2問
Xは、Yに国際見本市の会場の1つとなる乙建物の建築を注文した。Zは、見本市の期間中、乙建物を出展用に使用するため、Xと賃貸借契約を締結した。この契約には、乙建物を使用させられないときはXがZに1000万円を支払う旨の損害賠償額の予定条項が含まれていた。ところが、乙建物は、完成後引渡し前に地震により全壊して使用不能となり、見本市の期間中には再築も間に合わなくなった。Xは、Zに予定どおり乙建物を使用させていれば、2000万円の収益を得られるはずであった。
右事例において、(1)地震の震度が極めて大きく、Yが耐震基準に適合した設計・施工をしていたにもかかわらず、乙建物が全壊した場合と、(2)地震の震度は、標準的な建物であれば十分耐え得る程度のもので、Yの施工上の手抜き工事が原因で乙建物が全壊した場合とに分けて、XY間およびXZ間の法律関係について論ぜよ(なお、XY間の請負契約には民法上の規定と異なる特約はなかったものとする。)。

平成9年

第1問
Aは、その所有する甲土地にBのために抵当権を設定して、その旨の登記をした後、Cに対し、甲土地を建物所有目的で期間を30年と定めて賃貸した。Cは、甲と地上に乙建物を建築し、乙建物にDのために抵当権を設定して、その旨の登記をした。その後、Cは、甲土地上の庭先に自家用車用のカーポート(屋根とその支柱だけから成り、コンクリートで土地に固定された駐車設備)を設置した。
右の事案について、次の問に答えよ(なお、各問いは、独立した問いである。)。
1 Bの抵当権が実行され、Eが競落した場合、乙建物およびカーポートをめぐるEC間の法律関係について論ぜよ。
2 Dの抵当権が実行され、Fが競落した場合、乙建物およびカーポートをめぐるFA間の法律関係について論ぜよ。

第2問
多数当事者の債権関係において、複数の債務者全員を連帯債務者とするよりも、一人を主たる債務者とし、その他の者を連帯保証人とする方が債権者に有利であるとする考え方がある。この考え方について、契約の無効・取消し、債権の存続、譲渡および回収という側面から論ぜよ。

平成10年

第1問
Aは、Bに対し、自己所有の甲建物を賃料月額10万円で賃貸した。Bは、Aの承諾を得た上で、甲建物につき、大規模な増改築を施して賃料月額30万円でCに転貸した。その数年後、Bが失踪して賃料の支払を怠ったため、AB間の賃貸借契約は解除された。そこで、Aは、Cに対し、「甲建物を明け渡せ。Bの失踪の日からCの明渡しの日まで1か月につき30万円の割合で計算した金額を支払え。」と請求した(なお、増改築後の甲建物の客観的に相当な賃料は月額30万円であり、Cは、Bの失踪以後、今日に至るまで賃料の支払をしていない。)。これに対し、Cは、「自らがBに代わってBの賃料債務を弁済する機会を与えられずに明渡しを請求されるのは不当である。AB間の賃貸借契約が解除されたとしても、自分はAに対抗し得る転貸借に基づいて占有している。Bの増改築後の甲建物を基準とした金額を、しかもBの失踪の日からAが請求できるのは不当である。」と主張して争っている。
AC間の法律関係について論ぜよ。

第2問
消滅時効と除斥期間につき、どのような違いがあるとされているかを論じた上で、次に掲げる権利が服する期間制限の性質やその問題点について論ぜよ。
1 瑕疵担保による損害賠償請求権
2 不法行為による損害賠償請求権
3 取消権
4 債務不履行による解除権

平成11年

第1問
Aは、工作機械メーカーのBとの間で、平成10年1月10日、「Bは、Aに対し、同年5月31日までに、Aの工場専用の工作機械を製作してAの工場に設置して引き渡す」「代金(設置費用の実費200万円を含む。)は800万円とし、Aは、Bに対し、契約締結日に内金300万円の支払をし、工作機械の引渡しの日の翌月末日に残代金500万円の支払をする」との約定で契約を締結し、代金の内金300万円の支払をした。なお、工作機械を設置するには、Aが工場を事前に改造する必要がある。
Bは、同年4月30日に工作機械を完成したため、その旨を直ちにAに連絡して工場の改造を求め、その後も度々改造を求めたけれども、Aが一向に工場の改造に取り掛からないため、工作機械を設置することができないまま、同年5月31日が経過した。なお、Bは、金融業者から工作機械の製作費用として300万円を借り、同年5月31日までの利息として20万円の支払をした。
Bは、Aに対し、契約を解除する旨の意思表示をし、損害賠償として代金相当額800万円及び金融業者に対する利息金相当額20万円の合計820万円の支払を請求した。これに対し、Aは、その解除及び損害賠償額を争っている。
まず、Bの契約解除が認められるかどうかについて論じた上で、仮に契約解除が認められるとした場合のAB間の法律関係について論ぜよ。

第2問
民法の規定によれば、@詐欺による意思表示は取り消すことができるとされている(第96条第1項)のに対し、法律行為の要素に錯誤がある意思表示は無効とするとされており(第95条本文)、A第三者が詐欺を行った場合においては相手方がその事実を知っていたときに限り意思表示を取り消すことができるとされている(第96条第2項)のに対し、要素の錯誤による意思表示の無効の場合には同様の規定がないし、B詐欺による意思表示の取消しは善意の第三者に対抗することができないとされている(第96条第3項)のに対し、要素の錯誤による意思表示の無効の場合には同様の規定がない。
「詐欺による意思表示」と「要素の錯誤のある意思表示」との右のような規定上の違いは、どのような考え方に基づいて生じたものと解することができるかを説明せよ。その上で、そのような考え方を採った場合に生じ得る解釈論上の問題点(例えば、動機の錯誤、二重効、主張者)について論ぜよ。

平成12年

第1問
Aは、画商Bから著名な画家Cの署名入りの絵画(以下「本件絵画」という。)を代金2,000万円で買い受け、代金全額を支払って、その引渡しを受けた。当時、ABは、本件絵画をCの真作と思っており、代金額も、本件絵画がCの真作であれば、通常の取引価格相当額であった。Aは、自宅の改造工事のために、画廊を経営するDに対し、報酬1日当たり1万円、期間50日間との約定で、本件絵画の保管を依頼し、報酬50万円を前払して、本件絵画を引き渡した。その後、本件絵画がCの真作を模倣した偽物であって100万円程度の価値しかないことが判明したので、AがBに対し、本件絵画の引取りと代金の返還を求めて交渉していたところ、本件絵画は、Dへの引渡後20日目に、隣家からの出火による延焼によって画廊とともに焼失した。
以上の事案におけるAB間及びAD間の法律関係について論ぜよ。

第2問
1Xは、Yから甲土地とその地上建物(以下「甲不動産」という。)を代金2,000万円で買い受け、代金全額を支払った。当時、Yは、長年にわたって専ら家事に従事していた妻Zと婚姻中であり、甲不動産は、その婚姻中に購入したものであった。甲不動産につき、YからXへの所有権移転登記を経由しないうちに、YZの協議離婚届が提出され、離婚に伴う財産分与を原因としてYからZへの所有権移転登記がされた。
この事案において、YZの協議離婚がどのような場合に無効になるかを論ぜよ。
2上記の事案において、Yには、甲不動産以外にめぼしい資産がなく、Xのほかに債権者が多数いるため、Yは、既に債務超過の状態にあったものとする。また、YZが財産分与の合意をした当時、Zは、Yが債務超過の状態にあったことは知っていたが、甲不動産をXに売却していたことは知らなかったものとする。
仮に、YZの協議離婚が有効であるとした場合、Xは、裁判上、だれに対してどのような請求をすることができ、その結果、最終的にどのような形で自己の権利ないし利益を実現することになるかを説明せよ。

平成13年

第1問
Aは、Bに対し、自己所有の甲建物を売却して引き渡し、Bは、Cに対し、甲建物を、使用目的は飲食店経営、賃料月額50万円、期間3年、給排水管の取替工事はCの負担で行うとの約定で賃貸して引き渡した。Cが300万円をかけて甲建物の給排水管の取替工事をした直後、Aは、Dに対し、甲建物を売却して所有権移転の登記をした。
この事案において、DがAからBへの甲建物の売却の事実を知らなかったものとして、DがCに対してどのような請求をすることができ、これに対し、Cがどのような反論をすることができるかについて論じた上で、BC間の法律関係についても論ぜよ。

第2問
1 不法行為責任と責任能力との関係について説明した上で、責任能力が必要とされている理由を過失概念の変容と関連付けながら論ぜよ。
2 未成年者の加害行為に対する親権者の不法行為責任を問う法的構成について論ぜよ。

平成14年

第1問
 Aは、妻と共に、子B(当時18歳)の法定代理人として、Cに対し、Bが祖父からの贈与により取得した甲土地を、時価の500万円で売却して引渡し、所有権移転の登記をした。Aは、妻の了解の下に、その売却代金を、AのDに対する500万円の債務の弁済に充てた。Aは、Dに弁済する際、甲土地の売却代金により弁済することを秘していたが、Dは、そのことを知っていた。AがDに弁済したとき、A夫婦は無資力であった。その後、Bは成人した。
1、A夫婦が売却代金をAのDに対する債務の弁済に充てるために甲土地を売却したものであり、Cは、甲土地を買い受ける際、そのことを知っていた場合において、次の各問について論ぜよ。
 (1)Bは、Cに対し、甲土地の返還を請求することができるか。
 (2)CがBに対して甲土地を返還したとき、Cは、Bに対し、500万円の支払いを請求することができるか。
2、A夫婦が売却代金をBの教育資金に用いるつもりで甲土地を売却したば、売却後に考えが変わり、売却代金をAのDに対する債務の弁済に充てた場合において、Bは、Dに対し、500万円の支払いを請求することができるかについて論ぜよ。

第2問
 Aは、20歳の息子Bが資産もないのに無職でいることに日ごろから小言を言っていたところ、BがCから500万円の借金をしていることを知り、その借金を返済してやりたいと考えた。しかし、Bは、「親の世話になりたくない。」と言って、これを拒否している。AがBの上記債務を消滅させてやるためにはいかなる法律的方法があるか。AC間に新たな合意を必要としない場合と必要とする場合とに分けて論ぜよ。

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